[原子力産業新聞] 2005年10月20日 第2304号 <1面>

[政府] 政策大綱を閣議決定 政府内での位置付けを明確化

 政府は14日、原子力委員会が取りまとめた原子力政策大綱を閣議決定した。 「政府は原子力委員会の原子力政策大綱(平成17年10月11日原子力委員会決定)を原子力政策に関する基本方針として尊重し、原子力の研究、開発及び利用を推進することとする」というもの。今後、10年程度の期間を目安に、関係各省庁や関係機関は、この大綱に示された基本方針をもとに、各種の施策を実施することになる。

 原子力委員会は、1956年から九回にわたり概ね5年毎に長期計画を策定、従来は閣議配布してきた。しかし、今策定から同委員会が内閣府に属することになり、「原子力行政を担う各省庁に対し、基本的な施策の方向を示す役割が期待されている」と判断。名称を長期計画から政策大綱に変更するとともに、閣議報告や配布に比べ、その位置付けが極めて重い閣議決定とすることで、政府部内との調整を進めた。

 大綱は、直接処分を含め核燃料サイクルに関し安全性、技術的成立性、経済性など10項目の視点で評価、その上で使用済み燃料の再処理を基本方針として決定、再処理路線を堅持した。大綱の趣旨から、数値を明示する部分は比較的少ないが、原子力発電の役割やFBRの導入時期などは数値を明示。原子力発電では、「エネルギー供給のベストミックスを追求するなかで、2030年以後も総発電量の30〜40%程度という現在の水準か、それ以上の供給割合を担うことを目指すことが適切」とし、FBRについては、「経済性等の諸条件が整うことを前提に、2050年頃から商業ベースでの導入を目指す」とした。

 近藤議長は、最終策定会議後の会見でこの数値について、「今後の施策を進める上で最低限必要なものと考えている」と説明した。

 また当面はプルサーマルを着実に推進し、中間貯蔵された使用済み燃料や使用済みMOX燃料の処理の方策は、技術動向などを踏まえて2010年頃から検討。安全・安心、立地地域との共生、広聴・広報の充実などにも多くのスペースを割いた。さらに放射線廃棄物への取組みを基盤活動と位置付け、原子力利用の前提条件に入れた。


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