[原子力産業新聞] 2005年10月20日 第2304号 <3面>

[独] 政策協議を開始 大連立政権

 9月18日投票のドイツ連邦議会(下院)選挙では、シュレーダー首相率いる与党の社会民主党(SPD)、メルケル党首率いるキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)のいずれも過半数を取れなかったため、両党間で「大連立」政権樹立へ向けた協議が続いてきた。

 両党は10日、メルケル氏を初の女性首相として連立を組むことで合意。SPDには大臣ポスト16中、副首相ポストと大臣ポスト8が割り当てられ、原子力安全規制を担当する環境大臣のポストも社会民主党(SPD)が取った。

 13日には、新環境大臣にはジグマー・ガブリエル氏(46)が決定。同氏は北ドイツ出身、シュレーダー首相の跡を継いで、ニーダーザクセン州首相を務めた。生粋の環境派ではないが、ゴアレーベンの高レベル放射性廃棄物処分事業に厳しく反対している。

 一方、メルケル次期首相は、物理学で博士号を取得。1994〜98年まで連邦環境・自然保護・原子炉安全相を務め、チェルノブイリ事故10周年の国際会議では議長を務めるなど、原子力政策には詳しい。

 しかし新環境大臣の人選から、前政権の脱原子力政策を継続するのではとの観測が出ている。また、ゴアレーベンの廃棄物処分事業の復活も難しそうだ。

 両党は17日にも、連立政権での政策協議を開始、11月中旬には連立協定に署名する予定だ。SPDと緑の党が敷いた脱原子力路線を、メルケル氏率いる大連立政権が覆すことができるかどうか、注目される。


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