[原子力産業新聞] 2005年11月4日 第2306号 <1面> |
[総合資源エネ調査会・原子力部会] 二国間原子力協定を推進10月25日に開かれた総合資源エネルギー調査会・原子力部会で、経済産業省・資源エネルギー庁は、「我が国原子力産業の国際展開」と題する資料を説明。この中で、先進国向け原子力輸出への公的金融の活用、開発途上国への輸出のための二国間協力協定等の枠組み作りを進めるなどの考えを示した。次回18日の第5回会合で議論が行われる。 経産省は原子力輸出について、核不拡散と安全性確保を大前提とした上で、世界的に原子力発電の導入が図られることは、エネルギー需給の緩和と地球環境問題への対応の観点から有益であり、また国内の原子力発電所建設の低迷が20年以上続くと考えられることから、技術と人材の厚み維持のためにも有益とする。 実際の原子力輸出に関しては、原子力技術のライセンス、燃料供給、国際約束等を踏まえ、当面は米国等の国と「協力して進めることを基本」とする。 途上国への原子力輸出支援を目的として、対中輸出支援のため中川経産大臣が送った支援レターのような、政府の「高いレベルでの明確な支援表明の意思表示を積極的に行ってはどうか」とする。また、核不拡散体制や損害賠償制度の整備など、原子力に関する知見・ノウハウを提供。同時に国は、二国間協力協定等の資機材移転のための枠組み作りに取り組むべきだとしている。 米国で包括エネルギー法が成立し、原子力発電の復活により、原子力発電所新規発注が期待されているが、米国では資金調達が「ボトルネックとなる可能性が高い」ことから、民業圧迫にならない範囲で、貿易保険に加え、ファイナンス面での公的支援も積極的に検討してはどうかとしている。 1974年の核実験以降、わが国が原子力協力を行ってこなかったインドについては、米国が協力再開を決めたこと、2020年までに原子力発電容量を2000万kWへ拡大する計画があるとしながらも、インドに対する原子力資機材・技術供与の是非については、世界的にまだ方向性が定まっておらず、核不拡散体制との整合性の観点からも、今後、原子力供給国グループ(NSG)において取り扱いを議論する必要があるとしている。 |