[原子力産業新聞] 2005年11月4日 第2306号 <2面> |
[核融合専門部会] 今後の核融合研究開発推進方策を了承原子力委員会の核融合専門部会は10月26日、第9回会合を開催し、同部会の下の核融合研究開発基本問題検討会で審議してきた「今後の核融合研究開発の推進方策について(案)」を了承した。ITERの成果を基に2020年代初頭に原型炉建設に着手できれば、今世紀中葉に実用化の見通しを得られるとし、経済性を念頭においた研究開発の重要性を強調した。 基本問題検討会は、原子力委員会が92年に策定した「第3段階核融合研究開発基本計画」のレビューを目的に03年6月から審議を開始した。しかし今後の核融合開発の中核を成すITERの交渉が長期化し、ここ1年半あまり審議を中断していた。今回の報告書は同交渉が決着、日本の準ホスト国としての立場を踏まえたもの。 報告書は核融合研究開発の意義、基本計画の進捗状況、今後の基本的進め方、早期実現のための各種施策などで構成。トカマク型の今後の開発は、発電システムとしての技術的成立性の確認とともに、経済的競争力の見通しを得ることが必要と指摘、ITER計画と並行して経済性を念頭においた原型炉の研究開発を進めることが妥当とした。これにより20年代初頭から原型炉の建設に着手、30年代から連続的な試験運転が実施できれば、今世紀中葉までに実用化の見通しを得られるとする。 一方、ヘリカル方式やレーザー方式は、選択肢を拡げる観点から引続き大学等で学術研究に重点を置いた研究を進め、様々な成果を原型炉の設計にも反映させる必要があり、その上で適切な時期に核融合炉として可能性に関する評価を実施し、その後の計画の方策を検討するとしている。 |