[原子力産業新聞] 2005年11月10日 第2307号 <2面>

[韓国] 中低レベル廃棄物処分場 慶尚北道・慶州市に決定

 立地選定を巡って混乱が続いていた韓国の中低レベル放射性廃棄物処分場について、3日、韓国政府は四か所の候補地点で住民の賛否を問う住民投票を実施、賛成率が89.5%と最も高かった慶尚北道の慶州市をサイトに選定した。韓国政府は2007年から施設の建設を開始し、2008年中にも操業を開始したい意向だ。

 賛否を問う住民投票は、慶州市のほか、群山、盈徳、浦項の4市で行われ、賛成率はそれぞれ、89.5%、84.4%、79.3%、67.5%だった。処分場サイトは、有権者の三分の一以上が参加して住民投票を行い、賛成票が過半数に達した地域のうち、賛成率が最も高い地点に決まることになっていた。

 李熙範・産業資源部長官は、慶州市を処分場候補地に決定するとともに、候補地が住民によって選択されたことを強調、処分場を環境に優しい施設にすることを約束した。

 慶州市では、月城原子力発電所(CANDU、70万kW4基)が運転中であり、新月城原子力発電所(PWR、100万kW2基)を計画中。処分場サイトは、月城発電所近辺の陽北面・奉吉里の約60万坪が充てられる予定だ。

 韓国政府は過去19年間、放射性廃棄物処分場の立地に努力してきた。最近では2003年7月、全羅北道扶安郡の蝟島に使用済み燃料中間貯蔵施設と中低レベル廃棄物処分場の立地を発表したものの、対岸の扶安郡を中心に、激しい反対運動が発生。扶安郡長が住民から集団暴行を受けて重傷を負うなどの事態が起こり、産業資源部は、2004年9月、立地の白紙撤回を発表した。

 今回韓国政府は、立地地点に韓国水力原子力の本社を移転するほか、陽子加速の建設、3000億ウォン(337億円)の特別支援、年間85億ウォン(9億5000万円)の廃棄物搬入手数料の支払いなど、手厚い地元対策を行った。これらにより、約2万人分の雇用創出効果が見込まれるという。また、韓国水力原子力の本社移転によって、年間42億ウォン(4億7000万円)の税収増も見込まれている。更に、中間貯蔵施設は立地しないことも明らかにした。

 誘致成功に地元慶州市は祝賀ムード。慶州市長らは誘致成功を祝い、市内中心部でパレードを行った。


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