[原子力産業新聞] 2005年11月17日 第2308号 <1面>

[エネ調・検査の在り方検討会] 定検間隔など議論へ

 経済産業省は15日、総合資源エネルギー調査会の原子力安全・保安部会の下に設けられた「検査の在り方に関する検討会」(委員長=班目春樹・東大院教授)を2年ぶりに再開。2003年10月に導入された新検査制度の実施状況を検証するとともに、今後、リスク情報やパフォーマンス評価の検査への適用、各種検査制度の整理等を検討、また、「科学的な根拠に基づき決められたものではない」とする、現在の定検間隔の問題を議論、6月頃をメドに報告書を取りまとめる。

 冒頭、班目委員長は、「新検査制度は、品質保証の整備を事業者に義務づけているが、検査のあり方についてもPDCAサイクルを回していきたい」と述べるとともに、高経年化問題等の新たな問題にも取り組む意向を示した。

 挨拶に立った広瀬研吉・原子力安全・保安院長は、「検査制度を広く見直していくことが必要」と、新検査制度によって「現場の煩忙感が著しく増大したとの指摘がある」との認識を示し、限られた資源の中で検査の改善、向上を図っていく必要性を強調した。

 検討会が2002年6月にとりまとめた「原子力施設の検査制度の見直しの方向性について(中間取りまとめ)」では、検査の実効性向上への課題として、@品質保証活動の充実A抜き打ち的手法の導入B定量的なリスク評価の活用Cパフォーマンスの評価に応じた検査の適用D基準・規格の整備E法律に基づく措置の機動的な実施F軽微なトラブルから得られる教訓の活用――の7項目を示した。

 経産省はこのうち、リスク評価結果の活用や、原子炉ごとのパフォーマンスに応じて検査内容を変えていく検査については、未対応とした。

 今後の検討課題として、保安検査の検査方法の改善が必要とし、また、「現行の定期検査の間隔が特に科学的な根拠に基づき定められたものではないとの指摘等がなされている」問題については、定検について、定期事業者検査や、定期安全管理審査も含めて、整理することが重要としている。

 検討会に特別専門員として出席している電事連原子力開発対策委員会総合部会長の武黒一郎氏は、電気事業者としての意見を発表。この中で、「事業者の自主保安を前提とし、監査型を指向した現制度の基本的な考え方を定着・発展させていくことが必要」とし、発電所の現場が、かけた労力に応じて品質の改善を実感でき、意欲が高まることが重要と指摘。検査については、国際的にも共通性を有し、アジア諸国など他国の手本となるような改善を目指す必要があると述べた。

 委員を務めている日本航空インターナショナルの笹原整備副本部長は、「全般的に定量的データが少ない」と指摘、検査制度を変えるさいには、定量的データによって検討する必要があると指摘した。

 検討会では今後、設備の保守管理(ハード)と、保安活動(ソフト)に論点を分けて議論、月1回程度会合を開き、6月頃をメドに報告書を取りまとめる。


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