[原子力産業新聞] 2005年11月17日 第2308号 <1面>

[小坂・文科大臣] 科学記者会と会見 原子力に一層重きを

 文部科学省の小坂憲次大臣(=写真)は10日、科学記者会と会見し、原子力の利用・研究開発や第3期科学技術基本計画などに対する考え方を示した。

 この中で小坂大臣は、エネルギーセキュリティーや環境問題などから、原子力発電に一層重きを置くべきとするとともに、原子力が安心できるエネルギーになるよう安全性を高める技術開発が重要との考え方を強調した。

 小坂大臣は原子力のエネルギー利用に関して、「すでに電力の30%を支えており、資源小国であるわが国の立場やCO2などの環境問題を考えた場合、クリーンエネルギーとして原子力に一層重きを置くことが重要。しかし原子力の必要性と人々の安全意識は必ずしも一致していないのが現状であり、安心できるエネルギーという認識に変わるような技術開発が必要と考えている」と指摘。また、「安心を得るには、第一に事故や不祥事を無くし、安全の実績を重ねるとともに、見学などを通じて二重・三重の対策が施されている点など、正しい理解を得ることが重要」と述べた。

 FBR開発など核燃料サイクル政策に関しては、「日本の核燃料サイクル実現に向けた政策は、世界の一つのモデルになる。サイクル技術の確立は、より一層長期的な地球温暖化対策につながるなど正しい理解を頂くことが必要」とした。

 このほかITER計画への対応については、準ホスト国として技術的支援体制の整備に万全を期すことを強調。第3期科学技術基本計画の政府研究開発投資目標では「環境は厳しいが、科学技術創造立国を目指す立場から、第2期(01〜05年度)の24兆円を上回る規模を目標にしたい」との考えを示した。


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