[原子力産業新聞] 2005年11月17日 第2308号 <2面>

[原子力機構]ITER技術応用の内視鏡開発実用化に目処

 日本原子力研究開発機構は10日、藤田保健衛生大学第二教育病院内科の芳野純治教授及び、フジクラとの共同開発を進めた結果、腸閉塞(イレウス)を有する患者に対して使用可能な、小腸内視鏡の実用化の見通しを得たと発表した。

 国際熱核融合実験炉(ITER)に関する保守技術の開発を通じて得られた光ファイバー計測技術に関する研究成果の応用を目的に、04年6月に発足させた産学連携技術開発チームによる技術開発の一環。これまで腸閉塞(イレウス)及び癒着がある患者に対して適用可能な小腸内視鏡は、実用化されていなかった。

 開発チームでは、胃腸手術などの術後に腸閉塞を発病した患者に対して使用される治療用チューブ(イレウスチューブ)に、原子力機構が開発した極細径の光ファイバスコープを組み込むアイデアを発案。腸閉塞及び癒着がある患者の小腸内を目視観察可能にしたという。

 スコープは細長く、患者の体内に留置したイレウスチューブをそのまま使用して挿入可能とするため、体内への挿入に必要な時間が短く、結果として病変状態をいち早く観察可能であるとともに、患者の負担も軽減できるメリットがある。またイレウスチューブを利用する構造のため、チューブを引き抜きながら腸内全域に渡る連続した観察が可能となっている。


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