[原子力産業新聞] 2005年11月17日 第2308号 <3面>

[米DOE]ボドマン長官 高濃縮Uを20トン提供

 カーネギー国際平和財団は、7、8の両日、米首都ワシントンで「2005年カーネギー国際核不拡散会議」を開催。この会議で講演したボドマン米エネルギー省(DOE)長官は7日、米核兵器の解体によって発生する高濃縮ウラン200トンのうち、20トンを希釈して低濃縮化、核燃料供給保証に充てることを提案した。

 世界の経済成長に伴い2025年にエネルギー需要が現在より50%増えると予測、「原子力発電は、清潔、経済的、安全、そして信頼性の高いエネルギー源として、世界のエネルギー需要にますます重要な役割を果たしていく」と述べた。そのため、米国の原子力技術開発の再活性化と、国際原子力機関(IAEA)の強化など核不拡散枠組みの強化が必要だとした。

 核不拡散強化のため、ボドマン長官は「分離プルトニウムを発生させない」ことを「世界的な規範」とするよう提唱。「分離プルトニウムを生産しない再処理技術の開発が重要であり、必要」と述べている。

 昨年ブッシュ米大統領が、核不拡散条約(NPT)の「抜け道を塞ぐ」手段として、濃縮・再処理を放棄した国に便益を与えること、濃縮・再処理技術の移転を禁止することなどを提唱したが、このためにボドマン長官は、信頼できる核燃料供給の「セーフティーネット」機能を創設する必要性を強調。DOEは今年9月のIAEA総会で、17トンの高濃縮ウランを希釈し低濃縮ウランを製造、これを供給保証に充てることを提案していた

 米ロの「メガトン・トゥ・メガワット」計画で、500トンの高濃縮ウランを希釈し原子力発電所用燃料としているとし、現在までに核兵器1万個分の250トンの高濃縮ウランが核燃料の形で供給されたと述べた。

 ボドマン長官は講演の中で新たに、米国の核兵器解体高濃縮ウラン200トンのうち、20トンを希釈し、原子力発電所や研究炉の燃料とすることを提唱した。低濃縮ウランでは約340トンに相当する。

 200トンの高濃縮ウランのうち、160トンは海軍原子力艇用に、20トンは宇宙開発と高濃縮ウランを使う研究炉用に充てられる。海軍用の160トンによって、今後50年間は高濃縮ウラン製造施設を建設する必要がなくなるとしている。


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