[原子力産業新聞] 2005年11月17日 第2308号 <4面> |
[経産省]特定放射性廃棄物(高レベル放射性廃棄物)「最終処分に関する計画」の概要経済産業省はこのほど、「特定放射性廃棄物の最終処分に関する計画」を改定、10月28日の閣議決定を経て、同31日に官報に告示した。これは、「特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律」に基づき、5年ごとに、10年を1期として計画を定め、公表するもの。現行の計画は、平成12年10月に定められたもの。主な改定箇所は、@特定放射性廃棄物の量及びその見込みA最終処分の実施に関し必要な事項――となっている。同計画の概要を紹介する。 1.特定放射性廃棄物の最終処分に関する計画の概要 (1)使用済燃料の再処理後に生ずる特定放射性廃棄物の量及びその見込み ○平成16年末までの特定放射性廃棄物の量の見込みは約1万8400本 ○平成17年以降の特定放射性廃棄物の量としては、毎年、約1100〜1500本が見込まれ、平成32年頃に約4万本に達する見込み (2)最終処分を行う時期・量及び最終処分施設の規模・能力に関する事項 ○最終処分を開始する時期を、平成40年代後半を目途として設定。また、最終処分を行う量は、特定放射性廃棄物の年間発生量等を勘案して、年間約1000本として設定 ○最終処分施設の規模は約4万本以上、最終処分施設の能力は年間約1000本として設定 (3)概要調査地区等の選定及び最終処分施設の設置に関する事項 ○精密調査地区の選定時期は平成20年代前半を目途、最終処分施設建設地の選定時期は平成30年代後半を目途として設定 ○最終処分施設建設地において、平成40年代後半を目途に最終処分を開始することを設定 (4)特定放射性廃棄物の最終処分の実施の方法に関する事項 ○特定放射性廃棄物の最終処分は天然バリアと人工バリアとを組み合わせた多重バリアシステムにより実施 ○最終処分の実施の方法の詳細等については、安全の確保のための規制に関する検討等を踏まえ、決定 (5)その他特定放射性廃棄物の最終処分の実施に関し必要な事項 ○役割分担を踏まえつつ、密接な連携の下で、特定放射性廃棄物の最終処分の研究開発を着実に推進 2.経緯 9月28日 総合資源エネルギー調査会原子力部会了承 10月6日 原子力委員会及び原子力安全委員会に諮問 10月18日 原子力委員会から答申 10月20日 原子力安全委員会から答申 特定放射性廃棄物の最終処分に関する計画 平成17年10月28日 閣議決定 第1 発電用原子炉の運転に伴って生じた使用済燃料の再処理後に生ずる特定放射性廃棄物の量及びその見込み 1 平成11年12月31日以前の発電用原子炉の運転に伴って生じた使用済燃料の再処理後に生ずる特定放射性廃棄物(ガラス固化体)の量は、約13300本と見込まれる。 2 平成12年1月1日から平成16年12月31日までの発電用原子炉の運転に伴って生じた使用済燃料の再処理後に生ずる特定放射性廃棄物の量は、約5100本と見込まれる。 3 平成17年1月1日から平成26年12月31日までの発電用原子炉の運転に伴って生じた使用済燃料の再処理後に生ずる特定放射性廃棄物の量は、電気事業法第29条第1項の規定により経済産業大臣に届け出られた供給計画(平成17年度)等を基礎として算定した結果、左の表のとおりと見込まれる。 4 平成27年以降の各年における発電用原子炉の運転に伴って生じた使用済燃料の再処理後に生ずる特定放射性廃棄物の量を平成26年と同程度という前提をおいた場合、それぞれ当該時点までの発電用原子炉の運転に伴って生じた使用済燃料の再処理後に生ずる特定放射性廃棄物の量の総量は、平成32年頃には約4万本に達するものと見込まれる。 5 これまでの発電用原子炉の運転に伴って生じた使用済燃料の再処理後に生じた特定放射性廃棄物の国内での貯蔵量は、平成17年3月31日時点で、1061本である。 第2 前号の特定放射性廃棄物の最終処分を行う時期及びその量並びにこれに必要な最終処分施設の規模及び能力に関する事項 1 前号の特定放射性廃棄物の最終処分を行う時期及びその量前号の特定放射性廃棄物の最終処分は、平成40年代後半を目途として開始する。 現在建設中の六ケ所再処理施設の本格稼働時における特定放射性廃棄物の年間発生量等を勘案し、最終処分の開始後、最終処分される特定放射性廃棄物の量は、年間約1000本とする。 2 最終処分施設の規模及び能力 1施設当たりの最終処分施設の規模は、4万本以上の特定放射性廃棄物を最終処分することができる規模とする。 必要とされる最終処分施設の能力は、年間約1000本の特定放射性廃棄物を最終処分することができる能力とする。 第3 概要調査地区等の選定及び最終処分施設の設置に関する事項 概要調査地区等の選定については、おおむね、次のような計画に従い、行うものとする。 1 原子力発電環境整備機構(以下「機構」という)は、文献調査を実施した後、概要調査を実施し、平成20年代前半を目途に精密調査地区を選定し、平成30年代後半を目途に最終処分施設建設地を選定するものとする。 2 機構は、最終処分施設建設地において、別に法律で定める安全の確保のための規制に従い、最終処分施設を建設し、平成40年代後半を目途に最終処分を開始するものとする。 第4 特定放射性廃棄物の最終処分の実施の方法に関する事項 最終処分は、特定放射性廃棄物のまわりに人工的に設けられる複数の障壁(人工バリア)と、特定放射性廃棄物に含まれる物質を長期にわたって固定する天然の働きを備えた地層(天然バリア )とを組み合わせることによって、特定放射性廃棄物を人間環境から隔離する「多重バリアシステム」により実施するものとする。 最終処分の実施の方法の詳細、最終処分施設の閉鎖までの期間及び閉鎖後の措置等については、最終処分の安全の確保のための規制に関する検討等を踏まえ、決定していくものとする。 第5 その他特定放射性廃棄物の最終処分の実施に関し必要な事項 国、関係機関及び機構は、それぞれの役割分担を踏まえつつ、密接な連携の下で、特定放射性廃棄物の最終処分にかかる研究開発を着実に進めていくこととする。 機構は、最終処分の実施については最新の知見を十分反映して行うものとする。 |