[原子力産業新聞] 2005年12月15日 第2312号 <1面>

[原子力委員会] 食品照射専門部会(多田部会長)が初会合 「消費者目線で検討」

 原子力委員会の食品照射専門部会(部会長=多田幹郎・岡山大学院教授)は14日、第1回会合を開催(=写真)、食品照射の内外動向、有益性、安全性などに関する内外の評価について調査審議を開始した。多田部会長は「安全を如何に安心に繋げるかという課題が大きい。消費者の目線を踏まえた検討を行いたい」と挨拶、様々な観点から審議を進める方針を示した。同部会は今後数回の審議を重ね、報告書を原子力委員会に提出する。

 冒頭、近藤駿介・原子力委員長は、「放射線は幅広く利用されているが、一部は各国に比べ遅れているとの指摘を原子力政策大綱の検討の場でも頂いた。その例が食品の分野で、原因を分析、関係者が利便性やリスクなどを共有する必要がある。関係者の今後の検討に資する調査審議をお願いしたい」と挨拶。続いて部会長に多田教授を選出した。

 今会合では、事務局が原子力政策大綱における放射線利用の考え方、国際的動向及び各国の動向、栄養学的適格性、検知技術などを説明。委員からは、「消費者は食の安全に敏感になっており、的確な情報提供が重要。工業製品での利用をなぜ消費者に伝えないか、現場の声も聞かせて欲しい」(市川委員)、「生協は遺伝子組換に比べ、照射は進展していないと認識、改めて議論を深めたい。海外での利用は利用条件などの調査が必要」(鬼武委員)、「安全と安心の議論は難しいが、議論を進めることが重要」(等々力委員)、「玉葱は反対運動で実用化されていないが、その経緯の検証が必要。実際の利用では表示の問題が大きい」(碧海委員)などの意見が出された。

 多田部会長は、「食品照射は生産者、加工者の利益に繋がる議論が多いが、消費者の利益に繋がる点をピックアップしたい」とした。

 部会長以外の委員は左記の通り(敬称略)。

 碧海酉癸・消費生活アドバイザー、市川まりこ・消費生活コンサルタント、大村晴樹・食品産業センター技術開発部長、鬼武一夫・日本生活協同組合連合会安全政策推進室長、久米民和・日本原子力研究開発機構高崎量子応用研究所嘱託、田中憲穂・食品薬品安全センター遺伝毒性部部長、東嶋和子・科学ジャーナリスト、等々力節子 ・食品総合研究所食品工学部主任研究官、山本和子・ 農業マーケティング研究所所長


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