[原子力産業新聞] 2006年1月5日 第2313号 <10面>

[三菱電機と静岡がんセンター] 次世代陽子線治療で共同研究

 三菱電機と静岡県立静岡がんセンターはこのほど、次世代陽子線治療によるがん治療技術について、包括的な共同研究契約を締結した。

 陽子線治療は現在、国立がんセンター、静岡がんセンターなど5施設で実施されているが、1人の患者に平均1回約30分の治療を30回程度行うため、患者数に制限がある。

 共同研究では、ビームスキャニング照射法と呼ばれる次世代技術を臨床応用し、治療時間と治療コスト低減などに取組む方針。同照射法は、より細い陽子線ビームを腫瘍の形に合わせて走査するため、効果的に陽子線を患部に集中できる。陽子線の届く深さを調整する器具も不要で、治療に利用しない2次放射線の発生は約7割削減できる。世界2か所の施設で研究されているが、治療法としては実用化されていないという。

 三菱電機は放医研のHIMACの主契約社としての経験を活かし、陽子線や炭素線を使用したがん治療装置の開発・製作を行ってきており、静岡がんセンターには03年に陽子線治療装置を納入した。


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