[原子力産業新聞] 2006年1月19日 第2315号 <2面>

[COP11/MOP1] 原子力産業界 「温暖化対策としての原子力」強調

 昨年11月28日から12月10日にかけ、カナダ・モントリオールにおいて、国連気候変動枠組み条約第11回締約国会議(COP11)と京都議定書第1回締約国会議(MOP1)が開催された。

 この会議は、1997年に京都で開催されたCOP3に次ぐ規模で政府交渉団、NGO、プレスを含め、189か国、約9500人にのぼる参加者があった。

 会議ホスト国カナダの積極的なバックアップもあり、会議期間中、環境技術を取り扱った展示会が会場外で繰り広げられる等、一般市民にとっての関心も非常に高い会議となった。

 今会議の目玉は、第1に、COP7で合意された「マラケッシュ合意」の採択であり、これにより京都議定書は本格的に動き出すこととなった。

 第2は、「モントリオール行動計画」の採択。2013年以降の「ポスト京都」のあり方もめぐり、条約締約国すべてを対象として対話を行っていくことを決定した。対話の成果は、今年5月にボンで最初のワークショップを開催し、最大4回の会合を経て、COP12、13に報告していくとの道筋が描かれている。

 原産も前回同様COP11に参加し、原子力を温暖化対策としてPRすべく、積極的なロビー活動を展開した。原産がCOP3の折に形成した国際原子力フォーラム(INF)も一丸となって、原子力の理解活動を推進するために、現地で出展等活動を行った。

 INFは、カナダ原子力協会、米原子力エネルギー協会、世界原子力協会、欧州フォーラトム、欧州原子力学会、韓国原産と日本の原産の7団体から構成。INFは、12月7日にモントリオールのホテルにてレセプションを開催、政府代表団や議会関係者等と、地球温暖化対策としての原子力に関する意見交換を行った。

 さらに、INFの関連機関として、北米と欧州の原子力学会のヤングジェネレーションが共催により、12月5日、「解決策としての原子力を新たな視点で」とのテーマで、会議場内でワークショップを開催(=写真)。元グリーンピース創設者の1人パトリック・ムーア博士が講演を行った。

 ムーア博士は、原子力技術をエネルギー技術の重要な一要素として利用していくことは、持続可能な発展を推進していく上で不可欠とし、原子力を真っ向から否定する環境活動派の極端な思想を戒めた。一方、風力、地熱といった再生可能なエネルギーを積極的に評価、あらゆる技術の活用が地球温暖化解決には欠かせないとの立場を鮮明にした。

 原産は、11月29日に同じく会議場内で「クリーンエネルギー技術協力──アジア太平洋パートナーシップを迎えて」とのテーマでワークショップを開催。昨年7月に発足した日本、米国、中国、韓国、インド、オーストラリア6か国からなる、「クリーン開発と気候のためのアジア太平洋パートナーシップ」に連動させ、関係国の官・民による議論を展開した。

 この場で、ハーラン・ワトソン・米国代表団特別代表が同パートナーシップに関する基調講演。続いて、坂本敏幸・経産省地球環境対策室長、リー・リヤン・中国国家開発改良委員会気候変動副部長、トーマス・ウェバー・米ジュピター・オキシジョン社副社長、櫻井徳弥・中部電力地球環境グループ長、ビベック・クマル・インドエネルギー資源研究所研究員から、それぞれパネル発表を行った。この中で、温暖化対策として、今後、省エネルギーや原子力技術協力の重要性が打ち出された。(原産政策企画本部・菊山薫子)


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