[原子力産業新聞] 2006年1月19日 第2315号 <2面>

[ウクライナ] 4億ユーロかけ、燃料貯蔵施設拡張も

【1月16日=キエフ松木良夫】本紙先週号で既報のとおり、12月26日、ウクライナ国営原子力発電公社エネルゴアトムと、米国のホルテク・インターナショナル社の間で、ウクライナ国内の原子力発電所で発生する使用済み燃料の保管施設建設プロジェクトの発注契約が結ばれた。契約金額は約1億5000万ドル(約160億円)、9割はホルテク社が出資する。2008年の竣工予定だが、建設サイトは不明、閉鎖されたチェルノブイリ原子力発電所敷地内との情報もある。

 ホルテク社の今回の契約は、ウクライナ国営原子力発電公社エネルゴアトムが2003年に入札を行い、2004年に同社が落札したもの。今回契約分の施設は、モデル施設にすぎず、ウクライナ政府による数年後の許認可を待って、更に拡張される予定である。同拡張費用は4億ユーロ(約550億円)とされる。

 米ニュージャージー州に本社を持つホルテク社は、、使用済み燃料の貯蔵と輸送を主要業とし、同社製品は米国など7か国・80以上の原子力施設で使用されている。ウクライナでも、欧州復興開発銀行(EBRD)の出資によるチェルノブイリ使用済み燃料貯蔵プロジェクトの一部を請け負っていた。また、今回契約がなされた施設については、既に1990年代後半より、ウクライナへ売り込みがされていたもの。

 今回建設される施設により、ウクライナはこれまで使用済み燃料の保管と処理の為に、隣国ロシアへ支払っていた年間1億ドル(約110億円)を減らしてゆくことが出来る。


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