[原子力産業新聞] 2006年1月19日 第2315号 <6面>

[総合科学技術会議] 来年度以降5か年の政府研究開発投資 総額25兆円規模を答申

 総合科学技術会議は12月27日、来年度からの5か年を対象とする第3期科学技術基本計画策定に資する答申「科学技術に関する基本政策について」をとりまとめ、その中で期間中の政府研究開発投資を総額25兆円規模とすることを盛り込んだ。本答申を受け、第3期基本計画は年度内にも閣議決定される運びだ。

 同答申は、次期基本計画策定に向け、総理大臣の諮問を受けて、同会議に設置される基本政策調査会で調査・検討を行ったもので、それによると、第3期基本計画では、現行の第2期計画の掲げる3つの理念、@新しい知の創造A知による活力の創出B知による豊かな社会の創生――を基本的に継承した。また、科学技術、経済、社会を巡る情勢変化と展望等を踏まえて、より具体的な6つの大目標、@飛躍知の発見・発明A科学技術の限界突破B環境と経済の両立Cイノベーター日本D生涯はつらつ生活E安全が誇りとなる国――を設定した。

 さらに、これら大目標のもとに計12の中目標を掲げ、その達成に向けて科学技術政策の推進、成果実現と説明責任の強化を述べた。例えば、大目標「環境と経済の両立」では、「地球温暖化・エネルギー問題の克服」と「環境と調和する循環型社会の実現」を中目標とし、わが国経済の反映を確保しつつ、温室効果ガス削減の国際約束を達成することを大きな政策課題と位置付け、「イノベーター日本」の掲げる政策目標「強靱な経済・産業の実現」と合わせて、「国際競争力があり持続的発展ができる国の実現」につなげていくことをうたっている。

 また、第1、2期基本計画期間中を通じて、わが国全体の研究開発投資は増加傾向にある一方で、一層悪化している財政事情のもと、これまでの科学技術振興の努力を継続していく観点から、第3期基本計画中の政府研究開発投資を、対GDP比率1%、期間中の同名目成長率を平均3.1%として、総額約25兆円規模とした。また、毎年度の予算編成に当たっては、政府全体の財政構造改革に十分配慮した上で、施策の推進に必要な経費を確保していくよう指摘している。さらに、人材育成、イノベーション創出のための資金を重点的に拡充するとともに、研究費配分における無駄の徹底排除・審査体制の強化、評価システム改革などの一層の推進を合わせて強調し、投資効果を最大限発揮させることを促した。


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