[原子力産業新聞] 2006年2月2日 第2317号 <3面>

[ロシア] 国際センター提案 原子力外交で攻勢に プーチン大統領 「サイクルサービス提供」

 原油、天然ガス、ウランなどエネルギー資源価格の高騰を背景に、これらを豊富に埋蔵・産出するロシアが、積極的な原子力外交と資源外交を繰り広げている。

 ロシアのプーチン大統領は1月25日、核不拡散枠組みを保ちつつ、全ての国が原子力エネルギーへのアクセスを保証するために、世界的なインフラを作るべきだと発言。ロシアは「IAEA管理の元に、ウラン濃縮など、核燃料サイクル・サービス提供のための国際センターを建設、全ての国に解放する用意がある」と強調した。

 プーチン大統領はまた、新世代の原子炉及び核燃料サイクル開発へ向けた技術革新の必要性と、これに向けての国際協力の重要性を強調。ロシアが主要先進8か国(G8)首脳会議の議長国であることから、「G8各国と、原子力平和利用で協力を行っている国にこのアプローチを呼びかける」と述べた。

カザフ等にも働きかけ

 一方、ロシアは世界第2位のウラン埋蔵量を誇るカザフスタンと隣国ウクライナなど、旧ソ連諸国へのアプローチも強化している。

 ロシア原子力庁のS・キリエンコ長官(=写真、元首相)は1月に、カザフスタンとウクライナを訪問、旧ソ連時代に作られた両国の原子力発電インフラの立て直しなどを協議した。

 キリエンコ長官は25日、カザフスタンを訪問、同国の燃料・エネルギー相と会談し、先に両国首脳が合意している原子力分野での協力を実施するため、共同ワーキンググループを樹立することで合意した。

 キリエンコ長官は、「ロシア、ウクライナ、カザフスタンの国内にある全ての原子力発電関連施設は、もともと、ソ連時代の中規模機械製造省の複合施設の一部であり、我々はこれを復元する必要がある」と強調。ソ連崩壊後、ほとんどの施設はロシアに残ったものの、ウラン採掘・製造はカザフスタンに、タービン製造施設はウクライナに残ったと述べた。

 同長官は21日にはウクライナを訪問、同国のタービン製造において、ロシアがパートナーとなることで合意した。


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