[原子力産業新聞] 2006年2月9日 第2318号 <2面>

[東芝] WH社全株式取得を契約 原子力事業規模 15年までに3倍以上目指す

 東芝は6日、英国原子燃料会社(BNFL)との間でBNFL社の子会社であるウェスチングハウス(WH)社の全株式を取得する契約を締結した。取得額は54億ドル(約6400億円)、東芝は株式の51%以上を取得、残りは共同出資者が保有する。両者は今後、株式譲渡の詳細事項を調整、米英両国の行政許認可を経て、今年秋までに全ての手続きを終える予定。

 調印式は6日、ロンドン市内で東芝の西田厚聰社長とBNFLのマイケル・パーカー最高経営責任者が出席し行われた。

 東芝は、株式取得の意義や事業計画について、「原子力プラントの需要は急速に高まっており、世界需要は20年までに現在の約1.5倍に拡大する。こうした市場環境のもとでWH社が東芝グループの一員となることは製造、販売、技術面で両者の補完関係が成り立つ。世界トップクラスのグローバル原子力グループを形成し、BWRとPWR両方式を推進するリーディングカンパニーを目指す。東芝グループの原子力事業の規模は15年までに現在の3〜3.5倍(6000〜7000億円)になる」とした。また、 西田社長は8日の会見で共同出資者に関し、エネルギー関連事業に携わる5、6社の大手国際企業と交渉中とし、三菱重工との関係は、今後も良好な関係を維持したい、と述べた。

 東芝はBWR事業についても海外市場を含め、今後とも継続的に強化。WH社は東芝の連結子会社になった後も、米国ペンシルバニア州を本拠地とし、現状の資産、設備、従業員(約8000人)、商標等の権利を保持し事業を拡大する計画。米国や中国で新規受注が期待できる次世代PWR「AP1000」の開発を継続する。併せて共同で事業戦略を構築する。

 経済産業省の二階俊博大臣は6日の会見で、東芝のWH社買収に関し、「我が国の代表的な企業の一つが原子力に大きな役割を果たしてきたところに参画することは、基本的に望ましい。安全で経済的な原子力の発展が重要で、これを契機に競争力強化に向け、良い結果が出るように期待したい」などと述べた。


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