[原子力産業新聞] 2006年2月16日 第2319号 <1面>

[エネ調総合部会] 初会合 「新・国家エネ戦略」など策定へ

 総合資源エネルギー調査会の総合部会(部会長=黒田昌裕・内閣府経済社会総合研究所所長)は8日、第1回会合を開催(=写真)、今年5月にまとめる新・国家エネルギー戦略および同戦略を基に今年9月にまとめる改定エネルギー基本計画の審議を開始した。

 冒頭、小平信因・資源エネルギー庁長官は「世界のエネルギー需給構造は転換期に入り、欧米では原子力の見直しが進んでいる。我が国も安全保障を基点とした新・国家エネルギー戦略やエネルギー基本計画を策定する必要がある。エネルギー確保は我が国の将来にとって重要であり、国内外の情勢を踏まえた率直な意見交換をお願いしたい」と挨拶。初会合でエネ庁は省エネの強力推進、原子力及び核燃料サイクルの推進やエネルギー企業の競争力強化、アジアに対するエネルギー協力などを基本戦略とする今後のエネルギー政策の論点を提示した。

 このうち原子力推進では、安全を大前提とした原子力発電及び核燃料サイクルの推進が国家エネルギー戦略上不可欠とし、原子力政策大綱の「30年以後も原子力発電比率を30〜40%という現在の水準程度かそれ以上とする」との目標実現に官民一体で取組むとしている。具体策として原子力発電事業の投資環境の整備、次世代軽水炉開発、現場の中核的人材の育成支援、原子力産業基盤の維持・強化、ウラン資源開発、プルサーマル推進、高レベル廃棄物処分場の立地、サイクル技術の開発支援、FBR研究開発の推進、科学的・合理的な観点による安全の推進などを挙げた。

 委員からは、安全保障を基点とする戦略の策定方針に同意する意見とともに、まだパワーが足りない、より戦略性を前面に、などの指摘が多く出された。原子力に関しては「バックエンド施設が青森県1か所のみという課題に取組み、基本計画に盛り込むべき」(鳥居泰彦・慶応義塾学事顧問)、「FBRは先の話、なるべく早い時期に開発成果が上がる原子力技術にも注力すべき。水素社会に向け高温ガス炉は期待できる」(橋本昌・茨城県知事)などの意見が出された。


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