[原子力産業新聞] 2006年2月16日 第2319号 <4面>

[六ヶ所再処理施設] アクティブ試験計画書の概要@

 既報の通り、日本原燃の六ヶ所再処理施設は1月22日、ウラン試験を終了し、現在は操業へ向けた最後の試験となる「アクティブ試験」へ向けた準備が着々と進められている。本紙では今週・来週に渡り、日本原燃が原子力安全・保安院へ提出した「再処理施設アクティブ試験計画書(使用済燃料による総合試験)」の概要を紹介する。

 1.はじめに

   (略)

 2.適用範囲

 本計画書は、再処理施設のアクティブ試験に適用する。

 3. 関連図書

   (略)

 4. 定義

 「アクティブ試験」とは、使用済燃料による総合試験をいう。

 5. アクティブ試験の目的

   (略)

 アクティブ試験においては、使用済燃料を用いることによって、これまでの試験では確認できなかったプルトニウムや核分裂生成物の取扱いに係る再処理施設の安全機能及び機器・設備の性能を確認する。具体的な確認内容は、環境への放出放射能量、核分裂生成物の分離性能、ウランとプルトニウムの分配性能、液体廃棄物・固体廃棄物の処理能力等である。

   (略)

 6. アクティブ試験で使用する核燃料物質等

 アクティブ試験では、試験を実施するために必要な量の使用済燃料を用いる。

 また、ウラン試験において使用した劣化ウランの一部を、分離建屋及び精製建屋でのウラン平衡、分離建屋での溶解液の希釈、精製建屋でのウラナス調整等で使用する。さらに、ウラン及びプルトニウムの分析のために少量の標準核燃料物質を使用する。

 アクティブ試験中に使用する使用済燃料及び標準核燃料物質の種類、量等を表−1及び表−2に示す。

 7. アクティブ試験の内容
 7.1 アクティブ試験の進め方とスケジュール

 再処理施設のアクティブ試験は、「試験中の安全対策」を遵守しつつ、加圧水型軽水炉(以下「PWR」という。)及び沸騰水型軽水炉(以下「BWR」という。)の使用済燃料を使用し、「施設の安全機能及び機器、設備の性能確認」、「工場全体の安全機能及び運転性能の確認」の順に試験を実施する。

 7.1.1 基本的な考え方

   (略)

  •  使用済燃料中に含まれるプルトニウムや核分裂生成物が少ない低燃焼度・長期冷却燃料を用いて試験を開始し、段階的に燃焼度が高く、冷却期間が短い使用済燃料を使用する。
  •  分離建屋では、前処理建屋から受け入れた溶解液をウラン溶液で希釈し、試験を行う。また、この希釈率を段階的に下げることにより、プルトニウムや核分裂生成物の濃度を段階的に高めて試験を行う。
  •  使用済燃料の1日当たりの処理量を段階的に上げる。
  •  「施設の安全機能及び機器、設備の性能確認」においては、アクティブ試験の出来るだけ早い時期に安全性に係る判断が行えるよう、一連の試験を行い安全機能等の重要事項に係るデータを取得する。
  •  「施設の安全機能及び機器、設備の性能確認」の段階において、ホールドポイントを設定し、次の段階に移行するための評価を行う技術評価委員会を開催する。技術評価委員会においては、試験実施中に想定された結果を逸脱すると判断される場合には、必要な措置を講じた上で、再試験を行うか又は次の試験に移行するかを判断する。
 7.1.2 試験の基本的な進め方
 @施設の安全機能及び機器、設備の性能確認

 「施設の安全機能及び機器、設備の性能確認」においては、線量当量率及び空気中の放射性物質濃度、溶解性能、核分裂生成物の分離性能、プルトニウムの分配性能、プルトニウム逆抽出性能及び環境への放出放射能量等の安全機能について確認を行う。

 a. 第一ステップ

 アクティブ試験の最初に実施する「施設の安全機能及び機器、設備の性能確認(PWR)」においては、低燃焼度(約1万2000〜1万7000MWd/t・UPr)、長期冷却(約20年)と中燃焼度(約3万〜3万3000MWd/t・UPr)、中期冷却(約10〜18年)のPWR燃料合計約30トンUPrを用いて試験を行う。試験においては、使用済燃料のせん断量を徐々に増やしながら段階的に1日当たりの処理量を上げていく。

 その際、せん断、溶解処理に伴う希ガス・よう素等の放出や作業環境の線量当量率及び空気中の放射性物質濃度等を確認しながら進める。

 また、核分裂生成物の分離性能及びプルトニウムの分配性能確認試験においては、分離建屋で溶解液をウラン溶液で希釈し、核分裂生成物及びプルトニウム濃度を段階的(3段階)に高くして試験を行う。さらに、このステップの最終段階では、希釈を行わずに核分裂生成物の分離性能、プルトニウムの分配性能の確認を行う。なお、本ステップにおいて、低レベル固体廃棄物処理設備の処理能力確認試験(性能検査)を行う。

 b. ホールドポイント1

 第1ステップの試験の後にホールドポイントを設け、基本的な安全性(線量当量率及び空気中の放射性物質濃度、溶解性能、核分裂生成物の分離性能、プルトニウムの分配性能、プルトニウム逆抽出性能、環境への放出放射能量)を評価した上で、次のステップに進むこととする。

 c. 第2ステップ

 燃焼度約3万〜3万6000MWd/トンUPr、冷却期間約8〜15年のPWR 燃料約50トンUPrを用い、環境への放出放射能の1次評価を行う。合わせて、第1ステップで確認した項目に加え、脱硝性能や環境への放出放射能量等の確認を行うとともに、高レベル廃液処理設備の処理能力確認試験(性能検査)、低レベル廃液処理設備の処理能力確認試験(性能検査)を行う。また、本ステップの最後に低燃焼度のBWR燃料約10トンUPrを用いて、せん断性能の確認を行う。

 d. ホールドポイント2

 第2ステップの試験の後にホールドポイントを設け、基本的な安全性(線量当量率及び空気中の放射性物質濃度、溶解性能、核分裂生成物の分離性能、プルトニウムの分配性能、プルトニウム逆抽出性能、環境への放出放射能量の評価)について、第1ステップ及び第2ステップの結果を評価した上で、以後継続して実施する試験に進むこととする。

 e. 第3ステップ

 前処理建屋のせん断処理施設及び溶解施設の系列を変更し、PWR燃料及びBWR燃料合計約70トンUPrを用いて、せん断・溶解性能、分離・分配性能、線量当量率及び空気中の放射性物質濃度、環境への放出放射能量等の確認を行う。

 A工場全体の安全機能及び運転性能の確認

 「工場全体の安全機能及び運転性能の確認」においては、施設の安全機能及び機器、設備の性能確認を引き続き行うとともに、固体廃棄物の処理能力、線量当量率及び空気中の放射性物質濃度及び環境への放出放射能量の安全機能について確認を行う。

 a. 第4ステップ

 前処理建屋のせん断処理施設及び溶解施設の系列を変更し、PWR燃料約110トンUPrを用いて、再処理施設全体の処理性能を確認するとともに、低レベル固体廃棄物処理設備の処理能力確認試験(性能検査)、気体廃棄物放出放射能量確認試験(性能検査)、液体廃棄物放出放射能量確認試験(性能検査)、製品中の原子核分裂生成物含有率確認試験(性能検査)、製品回収率確認試験(性能検査)、線量当量率及び空気中の放射性物質濃度確認試験(性能検査)を行う。

 b. 第5ステップ

 前処理建屋のせん断処理施設及び溶解施設の系列を変更し、BWR燃料約160トンUPrを用いて、再処理施設全体の処理性能、線量当量率及び空気中の放射性物質濃度、核燃料物質の物質収支の確認を行うとともに、高レベル廃液ガラス固化設備の処理能力確認試験(性能検査)を行う。

   (略)

 7.2 安全関連確認事項

   (略)

 アクティブ試験では、初めて核分裂生成物、プルトニウムを取扱うため、これに関連する環境への放出放射能量、核分裂生成物の分離性能、プルトニウムの分配性能等の「安全関連確認事項(編集部注・再処理施設の事業指定申請書等に記載された各設備の安全に係る性能、能力又は廃棄物の処理能力、並びに運転管理手法の妥当性の根拠として試験による確認が必要な事項を網羅的に抽出したもの)」について確認することを計画している。

   (略)

 7.3 試験内容及び確認事項

 (略。試験内容については、表3参照)

 8. アクティブ試験の終了条件
 (1)段階的試験の終了

 試験運転の安全機能の確認に係る各試験項目が全て終了していること。

 (2)使用前検査の終了

 以下の使用前検査が全て終了していること。

  •  気体廃棄物放出放射能量検査
  •  液体廃棄物放出放射能量検査
  •  廃液の蒸発処理能力検査(高レベル廃液処理設備及び低レベル廃液処理設備の処理能力)
  •  ガラス溶融炉等の処理能力検査(高レベル廃液ガラス固化設備及び低レベル固体廃棄物処理設備の処理能力)
  •  線量当量率等の測定検査(線量当量率及び空気中の放射性物質濃度の測定)
  •  製品中の原子核分裂生成物の含有率測定検査
  •  製品の回収率測定検査
 (3)その他
  •  アクティブ試験結果を評価することにより、しゅん工にあたって反映すべき安全対策等の有無について確認し、必要に応じ保安規定の変更、認可を得ていること。
  •  試験運転で得られた情報を運転手順書等に反映していること。
  •  不適合等の処置については、JEAC4111−2003に準拠し、行われていること。
  •  使用前検査に合格していること。
  •  
 9.試験運転の手順書及び報告書

   (略)


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