[原子力産業新聞] 2006年2月23日 第2320号 <4面>

アクティブ試験計画書の概要A

 既報の通り、日本原燃の六ヶ所再処理施設は1月22日、ウラン試験を終了し、現在は操業へ向けた最後の試験となる「アクティ ブ試験」へ向けた準備が着々と進められている。今号では先週号から引き続き、原燃が原子力安全・保安院へ提出した「再処理施設アク ティブ試験計画書(使用済燃料による総合試験)」のうち、「10.アクティブ試験の実施体制」以降の概要を紹介する。

10. アクティブ試験の実施体制

   (略、図1参照)

11. 試験要領書、試験報告書等の審査及び検証の方法と手順

   (略)

12. 不適合等の取扱い

   (略)

13. 教育訓練
13.1 教育訓練の概要

 運転部門、保修部門及び放射線管理部門の要員の教育訓練として、13.3.2「アクティブ試験中に実施する教育訓練」を実施 するとともに13.3.3「保安規定に定める教育訓練」を実施する。

   (略)

14. 試験中の安全対策

 アクティブ試験においては、7.1「アクティブ試験の進め方とスケジュール」で述べたように、ホールドポイントを設定し、そ れまでに実施した試験結果に基づき、次のステップへ移行するにあたり安全上支障のないことを評価した上で、次のステップへ進む。ま た、各ステップにおける試験運転は、保安規定に基づき操作を実施するとともに、具体的には、以下のような安全対策を講じて試験を行 う。

14.1 アクティブ試験時における運転要員の遵守義務

   (略)

14.2 臨界安全

   (略)

14.3 閉じ込め

   (略)

14.4 火災・爆発の防止

   (略)

14.5 崩壊熱除去

   (略)

14.6 誤操作に関する安全対策

   (略)

14.7 故障等に関する安全対策

   (略)

14.8 化学薬品等の取扱い

   (略)

14.9 通報連絡等

   (略)

15. 試験上の条件及び制限
15.1 核的制限

 形状寸法管理、濃度管理、質量管理、同位体組成管理、中性子吸収材管理、これらの組合せ等により臨界安全設計を行い、適切な 核的制限値を設定している。

 アクティブ試験においては、核的制限値に係るインターロック又は警報の機能を確保する他、核的制限値が設定されている溶液の 移送操作については、施錠管理を行うことにより、事故防止を図る。

15.2 化学的制限

 有機溶媒の異常な温度上昇のおそれのある機器には、化学的制限値としてn−ドデカンの引火点(74度C)を適用し、事故防止 を図る。

 また、ウラン・プルトニウム混合脱硝施設の還元炉に使用する還元用窒素・水素混合ガスについては、化学的制限値として水素最 高濃度(6.0vol%)を適用し、事故防止を図る。

15.3 熱的制限

 TBP又はその分解生成物であるりん酸二ブチル、りん酸一ブチルと硝酸、硝酸ウラニル又は硝酸プルトニウムの錯体(以下、「 TBP等の錯体」という。)の急激な分解反応のおそれのある機器には、熱的制限値として加熱蒸気最高温度(135度C)を適用し、 事故防止を図る。

16. 放射線管理

 アクティブ試験における放射線管理は、初めて核分裂生成物やプルトニウムを取扱うことから、これらの取扱いに伴う作業者の被 ばく量を低くするため、作業実施に伴う放射線防護措置の状況を確認し、作業による線量及び作業場の放射線環境に応じた作業方法(作 業における防護装備、汚染拡大防止対策等)を立案したうえで、放射線防護上の措置を講じる等保安規定を遵守し、実施する。

   (略)

 アクティブ試験においては核分裂生成物やプルトニウムを考慮した以下のような放射線管理を重点的に行う。

(1)被ばく管理及び施設放射線管理

 被ばく管理としては、放射線業務従事者に係る線量限度(100mSv/5年、50mSv/年、女子は5mSv/3 か月)を下回る管 理目標(男子では年間20mSv且つ1日1mSv、女子は3か月で4mSv)を設定するとともに、線量当量率のうち中性子線の測定につい てはアクティブ試験から実施する。

 また、作業者のプルトニウムによる内部被ばく防止の観点から、施設内の汚染管理、空気中の放射性物質濃度管理を徹底する。

(2)放出管理
@ 液体廃棄物

 液体廃棄物の放出にあたって、放出前貯槽において、トリチウム、よう素−129、よう素−131の核種に対する測定を重点的 に行い、測定された放射性物質濃度に基づき放出量を積算して逐次管理することにより、年間の累計放出放射能量が放出管理目標値を超 えないことを確認し、海洋放出を行う。

   (略)

A 気体廃棄物

 気体廃棄物の放出にあたって、主排気筒等において、トリチウム、炭素−14、よう素−129、よう素−131、クリプトン− 85の核種に対する測定を重点的に行い、測定された放射性物質濃度に基づき放出量を積算して逐次管理することにより、放射性物質の 年間の放出量が放出管理目標値を超えないように管理する。

   (略)

(3)環境監視

 環境放射線管理としては、使用済燃料の受入れ・貯蔵開始から実施している、モニタリングポスト(周辺監視区域境界付近に設置 )及びモニタリングステーション(周辺監視区域外に設置)における外部放射線等の連続監視並びに環境試料(空気、飲料水、陸土、陸 上植物、畜産物、海水、海底土及び海産物等)の定期的な採取による放射能分析・測定をアクティブ試験においても継続して行う。

 上記に加え、アクティブ試験においては、新たにプルトニウム、アメリシウム及びキュリウムの放射能分析・測定を実施する。( なお、プルトニウム、アメリシウム及びキュリウムの事前データ採取をアクティブ試験開始前から開始している。)

(4)異常時の措置
@ 汚染や漏えいの発生

 管理区域内において、汚染や漏えいを発見した場合、発見者は可能な限り汚染拡大防止措置を取るとともに、制御室、関係箇所へ 連絡する。その後、放射線環境の確認を行い必要に応じ立入の規制を行う。汚染の除去にあたっては、施設状況及び放射線環境を考慮し た計画を立案し、実施する。

A 線量当量率及び空気中放射性物質濃度の上昇

 管理区域内のエリアモニタ及びダストモニタにより、線量当量率及び空気中放射性物質濃度の連続測定を行い、制御室にて監視す る。

 線量当量率等の予期せぬ上昇により高警報が吹鳴した場合、当該区域における作業者を退避させる。その後、作業環境の線量当量 率等を低減するための計画を立案し、実施する。

B 身体汚染・体内への取り込み

 作業者の身体に汚染が認められた場合には、直ちに身体除染を実施する。

   (略)

C 外部被ばく

 過剰な被ばく又はそのおそれがある場合には、放射線環境からの推定及び個人線量計の臨時測定による外部被ばく評価を行うとと もに、必要に応じて医師の診断を受けさせる。

D 管理区域内での負傷

 管理区域内で負傷者が発生した場合、人命第一を基本に、負傷の状態に応じた応急措置や通報連絡を行う。

 負傷部位が汚染又はそのおそれがある場合、状況に応じて、可能な限り除染又は汚染拡大防止措置を取り、管理区域外に搬送する 。

E 気体廃棄物及び液体廃棄物の異常放出

 排気モニタリング設備の測定値に異常が認められた場合には、せん断処理運転を中断するなどの応急措置を講じた上、フィルタの 健全性確認、施設運転状態の確認などによる原因究明を行い、フィルタ交換などの必要な措置を講じる。

 排水モニタの測定値に異常が認められた場合には、海洋放出ポンプによる排水の海洋放出を行わず、再分析を行い排水中の放射能 濃度が高い場合には、希釈又は上流の処理設備に戻し再度処理を行うなどの必要な措置を講じる。

17. 放射性廃棄物の廃棄

 アクティブ試験における放射性廃棄物の廃棄は、保安規定を遵守し、以下のように処理する。

17.1 気体廃棄物の処理

 気体廃棄物の放出にあたっては、排気モニタリング設備により、排気する放射性物質の監視・測定を行う。

 放射性物質の監視・測定は、クリプトンについてはガスモニタにより連続監視を行い、よう素、トリチウム等については、定期的 に放射性物質の捕集試料を採取し、分析することにより監視する。また、周辺監視区域外に設置したモニタリングポスト及びモニタリン グステーションにおいて、外部放射線等の連続監視を行うとともに環境試料を定期的に採取し、放射能分析・測定を行う。

17.2 液体廃棄物の処理

 液体廃棄物は、放射性物質の濃度を測定し、放出量を確認した後、海洋放出管を通して海洋に放出する。

アクティブ試験期間中は、第1海洋放出ポンプから導く海洋放出管と第2海洋放出ポンプから導く海洋放出管が接続されており、再処理 設備本体等から発生する液体廃棄物の処理廃液は、第1海洋放出ポンプから導く海洋放出管を通して海洋放出する。一方、使用済燃料の 受入れ施設及び貯蔵施設から発生する液体廃棄物は、第2海洋放出ポンプから導く海洋放出管を通して海洋放出する。

 海洋放出にあたっては、第1海洋放出ポンプによる海洋放出と第2海洋放出ポンプによる海洋放出を同時に行わないよう管理する 。

   (略)

17.3 固体廃棄物の処理

 アクティブ試験中に発生する高レベル廃液、低レベル濃縮廃液、廃溶媒、雑固体廃棄物等は、固体廃棄物の廃棄施設で処理し、固 化体をそれぞれの貯蔵設備で保管廃棄する。

18. 試験運転中の保修

 管理担当課長又は保修担当課長は、試験運転を安全かつ計画的に遂行するよう設備の点検保修を適切に行い、点検、保修作業の実 施にあたっては保安規定及び保安規定に係る基準類に従い、作業の安全管理に努める。

 なお、使用前検査の終了後、しゅん工までの期間においては、安全機能について問題がないことを保安規定に定める自主検査にて 確認する。

19. 核燃料物質の計量管理

 原子炉等規制法第61条の8に基づき、計量管理規定を定め、計量管理を実施する。

 また、アクティブ試験期間においては、計量管理規定に基づき実施される実在庫確認、中間在庫確認(NRTA(ニアリアルタイ ム計量管理)等)及び受払間差異等に関して、データの評価を行う。

20. 核物質防護

 原子炉等規制法第48条に基づき、核物質防護規定を定め、核物質防護措置を実施する。アクティブ試験時においては、しゅん工 後と同等の防護措置を実施する。

   (略)

21. 記録管理

   (略)

22. 品質保証

 試験運転に係る品質保証については、「試験運転全体計画書」に基づき、JEAC4111−2003 に準拠した品質保証活動を 取込んだ保安規定を遵守して実施する。以下にその内容を示す。

22.1 組織体制

   (略)

22.2 試験の管理
22.2.1 図書の整備

   (略)

22.2.2 試験運転の実施

 試験要領書、試験手順書に基づき、原則交替勤務により試験運転を行う。

   (略)

22.2.3 試験運転に係る事項の審査、検証及び承認手続き

   (略)

22.2.4 記録の管理

   (略)


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