[原子力産業新聞] 2006年3月2日 第2321号 <1面> |
[経産省] 米GNEPに協力方針示す UREX+法開発など経済産業省は2月24日、東京・港区で総合資源エネルギー調査会の原子力部会第8回会合を開催、先頃米国が発表した「国際原子力エネルギー・パートナーシップ(GNEP)」の概要と背景を報告し、我が国が同構想に協力していく姿勢を示した。また日本原子力研究開発機構が高速増殖炉サイクルにかかわる国際協力戦略を報告、殿塚理事長は世界の開発テンポが急速化していることから、国際協力と競争の中で「グローバル・スタンダードとなる技術開発を行いたい」との決意を示した。 GNEPについて経産省の柳瀬唯夫・原子力政策課長は、原子力発電国を「『核燃料サイクル国』と『単なる原子力発電国』」の二極に分ける新たな国際枠組みの提案だと総括。米、日、仏、英、露、中等を本構想の「パートナーシップ国」とし、これらの国は先進的再処理及び高速炉を開発・利用する一方、これ以外の国は、濃縮・再処理技術獲得を放棄することにより、パートナーシップ国より核燃料をリースされ、原子力発電のみを行うものだとした。 同構想について、政府の関係3省・1府が2月7日に共同で「見解」を発表。GNEPを評価した後で、わが国が「今後、どのような貢献ができるかという観点」から対応策等の検討を行っていくとしたことも、併せて紹介された。 次に原子力機構の殿塚理事長が、FBRでの国際協力戦略について説明。仏では今年1月、シラク大統領が第4世代炉の原型炉を2020年に運転開始するよう指示。米国でも今月6日、ボドマン米エネルギー省(DOE)長官が、2014年頃にナトリウム冷却高速炉(燃焼試験炉)を運転、2023年頃に商用燃焼炉を運転開始と発表するなど、世界的に開発のテンポが急速に速まっていると概観した。 一方、GNEPなど核燃料サイクルで新たな国際秩序の確立を視野に入れる構想も出現。わが国は、「核不拡散抵抗性の高い核燃料サイクル技術を、国際協力を通じて合意を形成しつつ開発し、早期に実用化を図ることが重要」だと強調、今後5年間に、米国が検討している先進湿式再処理法のUREX+法など、米国等との協力による開発が必要だと述べた。 委員からは、「欧米やアジアで原子力開発への熱意が高まり、2〜3年前とは大きく異なってきた。この流れの中で日本が役割を担っていくことが重要」(内山委員)、「FBR研究開発では国が主導すべき」(伊藤委員)、「もんじゅ再開でも、米GNEPや仏の視点を踏まえたものになっておらず、日本のビジョンと予算の裏付けが心配だ」(秋元委員)、「諸外国では国が研究開発を引っ張っており、特会の研究開発へのシフトを進めるべき」(児嶋委員)、「日本は従来自主開発路線だったが、母屋を空けてでも新しい家をつくるのか。コミットしないと日本の技術が有効に使われない」(末次委員)等の意見が出た。 |