[原子力産業新聞] 2006年3月2日 第2321号 <3面>

[ウクライナ] 核燃料製造に着手へ 首相が意向示す

【2月16日=キエフ松木良夫】ウクライナのエハヌロフ首相は2月10日、リヴィヴ工科大学でのスピーチの中で、現在の同国が、原子燃料の供給を全面的にロシアに依存していることに懸念を表明し、燃料サイクルの確立を目指し、今後12年内に燃料製造に着手する意向を示した。

 ウクライナは自国の原子力発電をまかなうに十分なウラン資源を有するが、製造工程のウラン濃縮と燃料加工をロシアに依存しているため、この依存度を下げることが、以前から大きな課題となっている。

 1990年代中頃、サイクル産業構想の概要承認がなされ、ウラン採掘業、燃料加工業、ジルコニウム産業などの確立を目指し、またIAEAの技術協力の枠組みへも支援を求めた時期がある。燃料製造に必要なジルコニウム合金についても、かなり力を入れていて、ロシアへも盛んにアプローチしたが、品質の点で問題があった模様で、当時は実現しなかった。

 その後2001年にはウクライナの国営原子力発電公社が、カザフスタンのカザトムプロム社およびロシアのTVEL社と、ウクライナ国内の原子力発電所向けの燃料製造を行う合弁会社を設立した。ウクライナがジルコニウム被覆管の製造、カザトムプロム社が燃料ペレットの製造を担当し、最終的な成型加工はTVEL社が行っている。


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