[原子力産業新聞] 2006年3月2日 第2321号 <3面>

[米国] 原子力でラジオ演説 ブッシュ米大統領 GNEPを強調

 2月18日、ブッシュ米大統領は、原子力発電の必要性についてラジオ演説を行った。以下はその概要。

 高まるエネルギー需要を満たすための最善策は、技術の進歩によるものだ。自動車、企業、家庭用の電力供給方法を変革する有望な技術を追求することで、海外のエネルギー源への依存度を減らすことができる。

 一般教書演説で発表した「先進エネルギー構想」では、安全でクリーンな原子力の利用を拡大する計画に触れた。原子力は、大気汚染や温室効果ガス排出なしに、低コストの電力を大量生産できるが、現在は、米国内電力のわずか20%程しか生産していない。

 フランスでは過去30年間に、58の原子力発電所を建設し、現在、国内電力の78%を原子力で賄っている。だが、米国では、1970年代以来、新規原子力発電所の建設は行われていない。

 昨夏私は、原子力発電所の新規建設を促進するために、インセンティブを提供するエネルギー法案に署名した。10年以内に原子力発電所の新規建設を開始することを目標としている。我々は、放射性廃棄物の安全な処分と、原子力技術と核物質をテロリストの手に渡らないようにするという2つの課題に取り組まなければならない。

 米国をはじめ、原子力発電所を進めている国々が協力するため、政府は、国際原子力パートナーシップ(GNEP)構想を提言した。GNEPに基づき、米国は、フランス、日本、ロシアなど、高度な民生用原子力計画を持つ国と協力する。同時に、革新的な原子炉の開発・建設、そして使用済み燃料の新たなリサイクル技術の開発を行う。これにより、多くのエネルギーが生産可能になるとともに、放射性廃棄物の量を劇的に削減し、また核兵器に転用可能な副生成物をなくせる。

 安全かつ費用効果の高い小型原子炉を開発途上国に開発・提供し、増え続けるエネルギー需要を満たすことができる。また、途上国が確実に核燃料の供給を受けられるようにする代わりに、平和目的にのみ原子力を利用すること、また核兵器の製造に使えるウラン濃縮・再処理活動を放棄することに同意するという考えだ。

 新年度予算は、この構想に2億5,000万ドルを充てている。GNEPに基づき他国と協力することで、成長する経済が必要な安価で安全なクリーン・エネルギーの供給と、核拡散のリスク削減が可能だ。

 エネルギー供給の変革には、想像力と決断力が必要だが、米国にはそうした能力が豊富にある。米国は革新と技術の面で、引き続き世界をリードするだろう。国際的なパートナーシップを構築し、原子力の恩恵を普及することで、より安全な、よりクリーンな、より豊かな世界を将来の世代のために作り出すことができる。


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