[原子力産業新聞] 2006年3月9日 第2322号 <3面> |
[英国] 運転中止では数億ポンドの損失 THORP英国の原子力廃止措置機関(NDA)は2日、再処理施設(THORP)を運転再開しない場合、数億ポンド(数百億円〜1,000億円)の損失が生じ、このコストはNDAが処理しなければならないため、英国の原子力施設浄化計画に障害が生じる恐れがあるとの報告書を発表した。NDAは4月にまとめる使用済み燃料管理に関する長期戦略の中で最終的に判断する。
THORPを運転再開しない場合には、@海外の顧客の使用済み燃料を発生国に返却するA第三国に送り再処理するB再処理に替えて国内在庫から相当量のプルトニウム、ウラン、廃棄物を発生者へ返還する――のいずれかを行わなければならない。THORPは、海外の多数の軽水炉燃料の再処理契約と、ブリティッシュ・エナジー社の新型ガス冷却炉の再処理契約を持っている。
同報告書によると、NDAは2006年4月、再処理、湿式貯蔵、新専用倉庫への乾式貯蔵、ドライキャスク貯蔵を含む、すべてのオプションを考察する包括的使用済み燃料管理レビューを開始する予定だ。
THORPを運転するブリティッシュ・ニュークリア・グループ(BNG)は、THORPの運転を継続するために、事故のあった計量タンクを1つだけ利用して安全に運転継続できるとしているが、英原子力施設検査局がこの妥当性を評価しなければならない。
「運転再開をすれば、現在の政府の政策および契約条件の範囲内で、既存契約を果たすことが可能になる。再開しない場合、NDAに数億ポンドの損失をもたらす可能性がある」という。セラフィールド・サイトにあるTHORPは、計量タンクに溶液を入れる清澄セルの配管が破断した事故を受け、2005年5月から運転を停止している。
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