[原子力産業新聞] 2006年3月23日 第2324号 <2面>

[原子力委・食品照射部会] 全日本スパイス協会などから意見聴取

 原子力委員会の食品照射専門部会は13日、第4回会合を開催、元国立衛生試験所安全性生物試験研究センター長の戸部満寿夫氏、全日本スパイス協会の尾崎一政理事長から意見を聴取した。

 同センターは、原子力委員会決定により67年から開始された、食品照射のナショナルプロジェクトにおいて健全性試験を担当。約20年間にわたり馬鈴薯、玉葱、米など7品目について動物実験により照射の毒性を評価、最終的に「全ての食品を通じ、毒性学的に照射の悪影響は全く見られない」との結論を示した。

 戸部氏は、ラットで体重や卵巣重量がやや減少するとのデータがあり、この点を消費者団体が指摘、議論となったことも紹介したが、個体差や卵巣摘出技術の問題であり、有意な差は認められないと説明。「多くの若い研究者が20年もかけた研究成果が当時の科技庁への報告だけとなり、社会に公表できなかったことは残念。わが国の特殊事情で食品照射は馬鈴薯に限定されているが、この問題の進歩に向けて、冷静かつ科学的な検討が必要」と指摘した。

 一方、尾崎理事長は00年、当時の厚生省へのスパイス照射許可申請の内容、現在わが国で認められている蒸気式殺菌では機能変化が生じ、スパイス活用を制限している点などを説明。

 家庭用スパイスでは緊急性はないが、業務用・加工用原料としては初発菌数に法的制限があり、思うようにスパイスを使えないのが実情。「照射許可は殺菌方法の選択肢を広げるという点で極めて有意義であり、スパイス業界としてはユーザーである加工食品メーカーとともに、幅広い検討をお願いしたいと考えている」と要請した。


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