[原子力産業新聞] 2006年3月30日 第2325号 <2面>

05年版原子力白書 原子力の50年をふり返る 「原子力への期待が高まっている」

 原子力委員会は、このほど05年版の原子力白書を取りまとめ、24日の閣議に報告した。我が国の原子力が、これまでの蓄積を踏まえつつ、世界的にエネルギー需給のひっ迫懸念が増大するなかで、新しい時代に向けて変化する姿を示すことに主眼を置いた。

 今回の原子力白書は、原子力基本法制定から50年を踏まえ、本編の第1章は我が国の原子力研究開発利用の変遷、現状認識、原子力政策大綱に則った今後の方向性などを示した。

現状認識として、世界的なエネルギー需給ひっ迫化に対する懸念増大、地球温暖化対策の重要性増大により、原子力への期待が高まっていると指摘。このため各種エネルギーの特性を踏まえた組み合わせを追求するなかで、原子力発電を引き続き基幹電源に位置づけ、現在の水準以上の供給割合を担うことを目指すとしている。具体策として既存プラントの最大限の活用、30年頃からの改良型軽水炉によるリプレース、50年頃からの商業ベースのFBR導入などを挙げ、再処理で得られるプルトニウムは、当面、プルサーマルでの利用を示した。

このほか基盤的活動として安全確保、放射性廃棄物の処理処分の推進、地域社会との共生などを記述。放射線利用の一層の推進策、短中長期の視点から研究開発の推進などについてもそれぞれ考え方を示した。まとめでは大綱の施策は着実に進展しているが、国は自ら行う施策を継続的に評価、その改善に努め、国民に説明することが重要と指摘。民間においても自らの安全確保などへの取組みや国民との相互理解活動を評価し、より改善することが期待されるとした。


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