[原子力産業新聞] 2006年3月30日 第2325号 <2面>

国が運転再開を容認 美浜3号機事故調役割終える

 美浜発電所3号機二次系配管破損事故調査委員会は28日、原子力安全・保安院がまとめた関西電力と三菱重工業の再発防止策は適切に実施されつつあるとの報告書を了承した。同委は役割を終え解散、二階俊博・経済産業相が関電の森詳介社長と三菱重工の佃和夫社長に継続的な改善を求める指導文を手交した。これにより国としては同事故の処理を一応終え、事実上運転再開を容認した。

 会合で森社長と佃社長がそれぞれ今年2月と3月に保安院に提出した再発防止策の実施状況を説明。保安院は関電で実施した「特別な保安検査」、三菱重工への聞き取り調査などをまとめた報告書を説明した。

 同報告書では、関電の再発防止策について、「経営層の実質的な意識改革や改善努力のもと、当初の計画通り実施され的確な評価がなされ、更なる改善に結びつく仕組みが構築されており、PDCAの一連の活動が自立的に行われつつあると判断する」と評価。「特別な保安検査」を終了した。三菱重工についても「改善に結びつく仕組みが構築されつつある」と評価した。

 二階経産相は、指導文の手交にあたり、「厳重な上にも厳重な安全管理をお願いする。尊い人命が失われ、日本の原子力政策の推進にも大きな影響を及ぼしたことを重く受け止めて欲しい。国民の原子力への信頼回復に全力をあげるようお願いする」とした。森社長は「心に命じて安全確保に努力します」と応えた。

 同社長は指導文を受けた後、記者団の運転再開時期の質問に対し、「スケジュールありきではない。安全に対する責任を重く受け止め、地元の信頼回復に全力で取り組む」と述べた。

 一昨年8月に発生した美浜3号機事故に対する国としての緊急的対応は28日をもって終了。保安院は報告書の内容やこうした国としての対応を地元自治体に報告、同3号機の運転再開の焦点は地元自治体の対応に移る。


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