[原子力産業新聞] 2006年4月6日 第2326号 <2面>

[原子力機構] 改修後20年以上の使用を JMTR検討委が報告書案

 日本原子力研究開発機構は3月23日、東京・港区の東京事務所で第4回JMTR利用検討委員会(委員長=宅間正夫原産副会長)を開き、同委員会報告書案を審議した。報告書案は、JMTRを平成18年度半ば以降停止して改修、その後20〜25年利用することが望ましいとしている。

 JMTRを廃止した場合、国内に軽水炉技術を支えるべき材料試験炉がなくなることが懸念されている。JMTRは運転開始から38年が経過し、制御系等の計装システムの高経年化が進んでいるため、一部施設の改修を必要としている。

 報告書案は、長期化すると予想される軽水炉材料の健全性や、燃料の高燃焼度化、改良型軽水炉の開発などに対応する必要性を指摘。また、ラジオアイソト−プ(RI)を安定的に生産・供給することや、ハイブリッド自動車等に利用される大口径シリコン半導体の生産のため、中性子ドーピングのニーズが、近い将来急速に拡大すると予想されることなどから、これらに対応できる国内施設の整備が必要となる。

 このためにはJMTRを照射料金、利用条件、サービスなども、海外炉と競争できるようにする必要性が指摘されている。

 報告書は改修後のJMTRを中核に、常陽、NSRR等の原子炉群や、各種の照射後試験施設群に加え、民間や大学の試験施設とを組み合わせ、国際的にも極めて特色のある照射試験センターとしての役割を担うことが出来るとしている。

 委員からは、改修後のユーザーが十分確保できないリスクを明らかにした上で投資判断を行うべきこと、海外の競合炉の存在を考慮すべきこと、固定客を得るためのヘビーユーザー優遇措置は門戸開放と両立が難しいこと、などの指摘があった。原子力機構では、4月半ばにも国に報告書を提出する。


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