[原子力産業新聞] 2006年4月13日 第2327号 <2面>

RI・研究廃棄物 処分事業、原子力機構による推進を RI・研究廃棄物 文科省が部会で提案

 文部科学省のRI・研究所等廃棄物作業部会は10日、第5回会合を開催、同廃棄物の集荷・貯蔵・処分事業の実施体制について議論した。文科省は処分について、日本原子力研究開発機構が関係者と協力し、国内の同廃棄物全体を対象に事業を推進することなどを提案、各委員からは国の支援、資金面など様々な意見が出された。

 文科省の提案は、放射性廃棄物の発生者はこれを安全に処理・処分する責任を有する、との原則を踏まえた上で、集中的に処理・処分するのが効率的とも指摘。具体策として、@RI廃棄物の集荷・貯蔵・処理は既に実施しているように日本アイソトープ協会が担当A中小施設からの研究所等廃棄物は、例えば原子力研究バックエンドセンターがこれらを実施BRI・研究所等廃棄物全体の処分事業は、同廃棄物の発生量で約8割を占め、技術的能力の高い原子力機構が関係者と協力して推進するC国は円滑な処理・処分事業に責任を持つ―などを示した。

 これに対して委員からは、「原子力機構全体の予算削減のなかで、処分事業の予算確保は難しい状況。用地取得、立地地域の理解活動などの課題もあり、廃棄物全体の処分は簡単に受け入れられない」(三代委員)、「電力分野の事業という位置付けに対し、研究機関は公益性が高く、廃棄物も公的なサポートが必要」(山名委員)、「研究機関は処理・処分費用を積み立てる仕組みが無いのが実情。また、単に発生者ではなく受益者という考え方が必要」(東ヶ崎委員)、「原子力機構には本来経理的基礎はなく、法的には国の支援がないと事業は不可能」(山内委員)、「まず原子力機構内で発生する廃棄物を処理・処分できる体制を作り、その次の段階で全体に対応するという二段階を考えるべき」(小佐古委員)、「研究だから廃棄物には対応できないという訳にはいかない。研究費に処分費を含めるべき」(松田委員)などの意見が出された。

 なお、今会合では原子力機構などが、処分事業の概要案を説明。約60万本(200リットルドラム缶)を50年間で処分し、1平方kmの用地が必要などとした。


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