[原子力産業新聞] 2006年4月13日 第2327号 <4面>

イネのカドミウム吸収を画像化 原子力機構が世界初、栽培に応用へ

 日本原子力研究開発機構と秋田県立大学はこのほど、植物ポジトロンイメージング技術により、イネに吸収されたカドミウムが根から茎や葉に輸送される様子の観測に成功した。植物内のカドミウムの画像化は世界でも初めて。カドミウムが蓄積しにくい品種の迅速な選抜や吸収を抑制する栽培技術の開発などに役立てる。

 同技術は、イメージングに適する核種がCd107であることを突き止め、これを新しい方法で製造するとともに、イネへのCd107の与え方やイネが取り込んだ微量Cd107の動きを定量的に測定する技術も開発、実用化した。Cd107の製造は、銀にイオンビームを照射することにより、7億個の銀原子の中に1個生成されるCd107を分離・回収することにより行う。

 この観測から播種4週間後の若いイネでは、根に多くのカドミウムが溜まっているものの、その一部は約1時間以内という早い時間で茎に移動することが判明した。

 原子力機構では、これを応用すれば、植物により土壌からカドミウムを減少させる技術を開発することも可能としている。

 

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