[原子力産業新聞] 2006年4月20日 第2328号 <1面>

国と地方との関係「相互信頼の構築を」 原子力部会で方針 検査立会いも受入れ

経済産業省は18日、東京・霞ヶ関で総合資源エネルギー調査会の第10回原子力部会を開催、国と地方の関係と広聴・広報について審議を行った。国と地方との関係では、権限の整理を行うよりも、まず相互理解を進めることが重要と指摘。次回から電気事業分科会への報告の検討に入る。

最近、国の安全審査とは別に、地方自治体が独自に安全面の判断を行うケースがあることについて、昨年秋の原子力部会長総括では、問題があるとの認識が出された。一方、改善の方向性としては、全国一律に国と地方の権限関係を整理する「ハード・アプローチ」より、国と地方のコミュニケーション強化により、相互理解、信頼関係を構築する「ソフト・アプローチ」が効果的との意見が多数を占めた。

経産省は、国が地方とのコミュニケーション強化のため、立地地域の実情に応じたきめ細かい取組みを行うとともに、国が立地地域から「顔が見える」関係となる必要性を強調。また、大臣など責任者を含めた国の各レベルでの取組み、地域振興の継続的取組み、行政体制の強化、民間事業者との連携などの重要性を強調した。

地元住民とは、シンポジウムなど多数の住民を対象とした取組みのほか、より少数の住民を対象とした、きめの細かい取組みも必要だと述べた。

また、国の検査へ地方が参加することについては、美浜3号機で昨年11月に行われたように、事業者の了解など一定の条件を前提に、原子力安全・保安院が行う検査への立地地域の立ち会いを受け入れるとしている。

委員からは、「安全規制への地方の関与は、地域から見ると、二重チェックで安心感がある」(河瀬委員)、「原子力発電所、基地、国際空港など国策に及ぶインフラについては、国と地方の利害の調整ルールを作るべき」(佐々木委員)、「各発電所と自治体が結ぶ安全協定が、立ち入り検査、運転停止要請、再開での協議など強化される傾向があり、『契約化』する恐れがある」(末次委員)、「現在の地域振興策の持続可能性には疑問がある」(井川委員)などの意見が出された。

原子力広聴・広報と、エネルギー広聴・広報・教育事業については、資源エネルギー庁が説明。さらに、木元教子氏が、「『原子力・国民の理解を求めて』の姿勢からの脱却―まず広聴・広報、そして国民との相互理解」と題して説明、また、反原子力の意見広告等に対する対処法の経験を披露した。


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