[原子力産業新聞] 2006年4月20日 第2328号 <3面>

米下院、GNEPで公聴会 目標は合意 スケジュール等で異論も

米議会下院の科学エネルギー小委員会は6日、グローバル原子力パートナーシップ(GNEP)について公聴会を開催した。議員らは、GNEPの目標自体には同意したが、計画の細目および全体的な費用については疑問を呈した。

小委員長のJ.ビガート議員(共和、イリノイ)は「GNEPは、廃棄物を削減するために、再処理、リサイクル、新型燃焼炉等、先進核燃料サイクルの包括的な開発を掲げている。開発のスケジュールは非常にきつい。技術は1日では開発できないため、すぐに着手するべきだ」と述べた。

電力研究所(EPRI)の原子力最高責任者のD.モディーン氏は、「原子力の拡大には政府と業界の協力が不可欠であり、既存原子炉の安全運転、改良型軽水炉の配備、ユッカマウンテンの許認可/操業など、確実な基盤の下で進めていく必要がある」と述べ、拙速を批判した。

米エネルギー省(DOE)原子力局のS.ジョンソン技術担当副部長は、「核燃料サイクルと使用済み燃料の管理が進まない限り、原子力の大発展はない。ユッカマウンテン処分場の完成も鍵である。GNEPは、核拡散リスクを限定しつつ、原子力発電を拡大する方法だ。軽水炉からの使用済み燃料をリサイクルできる核拡散抵抗性の高い技術を開発することを目指している」と述べた。

GNEPの目標自体は歓迎するものの、あまりにきつい日程を疑問視する専門家もいる。

マサチューセッツ工科大学のN.トッドリアス原子力工学教授は、あまりに早急な決定はGNEPの進展を妨げると述べ、「GNEPの成功には、新技術を開発できる高度な技術を持つ多数の専門家が必要であり、成功の確率は、新世代の原子力専門家の技術力に大きく依存する」と指摘した。

元IBM特別研究員のR.ガーウィン氏は、計画に必要な長期的な予算が配慮されていないので、GNEPの目標と日程を「非現実的」だとした。同氏は、新型再処理、新型燃料加工、新型高速炉等を同時に開発することは難しいと指摘し、たとえば、最初に高速炉を開発し、次に新型再処理(UREX+)技術を開発すべきだと述べた。


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