[原子力産業新聞] 2006年4月20日 第2328号 <4面>

核融合研 高温プラズマの世界記録更新 入力エネルギー1.6GJに

核融合科学研究所は11日、05年度の大型ヘリカル装置(LHD)実験において入力エネルギー1.6Gジュール、生成時間54分28秒、温度1,200万度Cなどを達成し、高温プラズマの世界記録(=図のLHD2006)を更新したと発表した。

今回の約54分のプラズマ生成保持実験では、イオンサイクロトロン共鳴加熱と電子サイクロトロン共鳴加熱の2装置で約500kWの電力を入射し、プラズマ入力エネルギー(入射電力×保持時間)1.6Gジュールを達成した。密度は1立方cmあたり4兆個で温度1,200万度C。これまではLHDが04年度に達成した1.3Gジュールが最高で、核融合炉の炉点火に必要な5Gジュールに近づいたという。

プラズマが持つ圧力とこれを閉じ込める磁場の圧力比で、核融合炉の経済的観点から5%程度以上が求められるベータ値では今回、磁場調整の研究などにより4.5%を達成した。

併せて今実験では、ロールアイランドダイバータと呼ばれるプラズマ周辺部の中性粒子を排気する装置と、水素の氷の粒を連続的に中心部に打ち込む水素ペレット入射装置と呼ばれる粒子補給装置を組み合わせて使用。中心部で一立方cmあたり500兆個を超える超高密度プラズマを生成することにも成功した。


Copyright (C) 2005 JAPAN ATOMIC INDUSTRIAL FORUM, INC. All rights Reserved.