[原子力産業新聞] 2006年4月28日 第2329号 <1面>

第39回原産年次大会 新協会として初開催 未来に備え再出発誓う

日本原子力産業協会として初めての原産年次大会が4月26日午後、神奈川県のパシフィコ横浜で開幕した。今年39回目を迎えた大会は「わが国の原子力産業の基盤強化と再活性化――未来のために、今なすべきこと」を基調テーマに28日まで、原子力関係者だけでなく国際世論の期待度が高まりつつある中で、世界の潮流と原子力産業の役割を改めて議論する。22か国・地域、3国際機関から約840名が参加した。

26日の開会セッションで、原産協会の西澤潤一会長は所信表明し、今年3月国が第3期科学技術基本計画を閣議決定し、「高速増殖炉サイクル技術」を国家基幹技術に選定したことは、原子力関係者にとって「努力のしがいがある」と述べ、高く評価した。

一方、国民が原子力をどう見ているかについては、ここ10年間でのいくつかの不祥事により原子力に不安をもつ人々が増えたかも知れないが、「原子力は日本にとって必要であると考える人々が過半数を占めている」と強調した。

同会長は「技術と社会の良好な関係を築きつつ、原子力が本当に責任を果たしたと、誰もが認める社会につなげて行きたい」と抱負を語った。

松あきら経済産業副大臣は、原子力発電について世界的に見直しの機運が高まっている点を指摘、同省が現在検討している課題として@電力自由化の中での新増設の実現A技術や人材の確保B原子力産業の国際展開C国際的な産業再編の流れの中での原子力産業の競争力強化D核不拡散と原子力平和利用の両立――を挙げ、「新国家エネルギー戦略」の中に反映させていきたい、とした。

次いで文部科学大臣所感を森口泰孝研究開発局長が、科学技術政策担当大臣所感を塩沢文朗内閣府官房審議官が紹介した。

     

 開会セッションに引き続き特別講演が行われ、グローバルな規模での原子力ルネッサンスの達成に向けて、各国の連携が今後ますます重要になるとの認識が示された。

世界原子力協会(WNA)のJ.リッチ事務局長は、原子力ルネッサンスの流れを世界的に加速するために、@主要国すべてが参加する長期的な気候変動防止の枠組みを確立するA各国政府および国際機関がこれまでの原子力に対する消極的な姿勢を改め、確固とした原子力政策を示す――ことなどを主張した。

A.ハワード米原子力エネルギー協会(NEI)副理事長は、米国の好調な原子力発電運転実績について最新のデータを用いて説明。米国で原子力ルネッサンスが加速している原因として、@新規ベースロード電源の需要増大A温暖化防止B天然ガス価格の不安定性C政策決定者および世論の原子力支持拡大――の4つを指摘した。さらに、新規原子力発電所の建設を支援するために、政府による融資保証や発電税の控除、許認可手続きの合理化などが策定されたことを紹介し、会場の関心を集めた。

今後新設される原子力発電所について計画が順調に進めば、許認可手続き、発注契約などを経て、初号機は10年にも建設が開始され、14年には運転開始できるのではないか、との見方を示した。

米エネルギー省(DOE)のV.レイス長官付上級顧問は、DOEが今年2月に発表した国際原子力パートナーシップ(GNEP)について講演。原子力平和利用の世界的な枠組み構築を目指すGNEPの理念は、日本の原子力政策にも合致しているとした上で、高速炉や再処理技術などの最先端技術を持つ日本のGNEPへの積極的な参加を強く要請した。


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