[原子力産業新聞] 2006年4月28日 第2329号 <3面>

英議会委が原子力等で報告 新設には電力・金融連合が必要

英下院・環境評価委員会(EAC)は16日、英国における原子力や再生可能エネルギーの今後についての調査報告書を発表し、その中で「これからの原子力発電所の建設には、電力会社と金融機関から構成されるコンソーシアム結成が不可欠」との考えを示した。

EACは、「今後10年間で現行の国内発電設備容量の約4分の1にあたる1,500〜2,000万kWが、リプレース時期を迎えるため、英国は相応の設備投資を迫られる。また発電部門は国内CO2総排出量の約3分の1を占めているため、相応の排出量削減を迫られることになる」と現状を分析。その上で、「英国では原子力発電所の政府による建設決定から運開まで15〜17年はかかるため、今後10年間の需給ギャップはガス火力および再生可能エネルギーでカバーしなければならない」と指摘した。

そして現行の自由化された電力市場では、長期的視野に立った投資を必要とする原子力発電や再生可能エネルギーへの投資意欲が上がらない点に言及し、今夏発表される予定の新しいエネルギー政策で適切な対応をするよう求めた。また、仮に原子力発電所を新設するとしても、現行の許認可手続きでは運開までのリードタイムが長すぎると指摘、貿易産業省に事前認可制度などの新制度の早急な検討を求めた。

EACは今後20〜30年以内に再生可能エネルギー関連技術が革新的に発展するとのスタンスに立っており、廃棄物問題やPA問題を抱えている原子力発電の推進には消極的だ。そのため報告書では、原子力発電部門への政府補助金支出に対しては、「再生可能エネルギー関連の補助金を圧迫する」として反対意見を表明。原子力発電所の新規建設にあたっては、政府補助金を支出せずに、電力会社と金融機関のコンソーシアムで臨むべき、との提案を行っている。


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