[原子力産業新聞] 2006年5月11日 第2330号 <1面>

対インド協力を模索 原子力委 国際問題懇が初会合

原子力委員会の国際問題懇談会は4月28日、初回会合を開催、インドを巡る国際動向をテーマに有識者との意見交換を行った。昨夏の米印民生原子力協力共同声明を受けて、今後の保障措置制度、わが国の対印原子力協力のあり方などが主な論点。座長は近藤駿介同委員長が務める。

千崎雅生・日本原子力研究開発機構核不拡散科学技術センター長は、米印民生原子力協力の意義、各国の反応、今後の展開について考察。わが国の対印協力に向けては、原子力政策大綱に基づき、米印原子力協力の推移等を踏まえつつ、関係者の情報・意見交換を進めていくことなどをあげ、近く同機構が主催する国際フォーラム(敦賀)にインドからも招聘する考えを明らかにした。

また、浅田正彦・京都大学院法学研究科教授は、米印協力声明によるインド民生用施設への保障措置適用は、対象施設の拡大と同時に、軍事用施設の存在を認めることでインドを事実上の「核兵器国」として認知しうるとしたほか、非核兵器国の不公平感などから、NPT体制全般への悪影響を危惧した。

内川秀二・日本貿易振興機構アジア経済研究所研究企画課長は、インドの安定的な経済成長、製造業に替わりサービス産業の急成長などをあげる一方、2億5,000万人もの貧困層に対する、政府の食糧・エネルギー安全保障への重要視を強調した。国民1人当たりのエネ消費量は世界平均の3分の1で、農村部では薪、牛糞が燃料として利用されている現状だが、将来的には石炭・石油・天然ガスへとシフトし、原子力は03年の1.5%から30年には6.3%にまで拡大する見通しだ。


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