[原子力産業新聞] 2006年5月11日 第2330号 <2面>

【第39回原産年次大会】 インド原子力発電公社社長
 2020年に4000万kW 日本にも熱い期待

原産年次大会の講演者として来日したインド原子力発電公社のS.ジェイン社長は4月27日、記者会見に臨み、日印関係の協力関係構築を強く訴えた。

インドでは出力の小さな加圧重水炉を中心に15基336万kWが運転中。7基342万kWが建設中である。さらに今年3月の米印合意により、1974年から途絶えていた欧米からの原子炉機器の輸入が再開できる可能性が開け、2020年までに計4,000万kWの原子力発電所を建設するとの野心的な原子力発電開発計画を掲げている。

ジェイン社長は、インドが掲げていた2020年までの原子力発電開発計画(2,000万kWを建設)が、原子力技術協力に関する米印合意を受け4,000万kWに拡大されたと説明。現在、ロシアの協力で100万kW級PWR2基を建設しているが、欧米諸国からの原子炉輸入が再開すれば20基以上の軽水炉を輸入もしくは欧米企業との協力で建設できる、と今後の外交交渉で原子炉輸入が再開されることに強い期待を寄せた。そして米・仏企業とはすでに協議中で、以前より関係の深かったドイツ・カナダ企業も外交交渉の行方を見守りながら交渉の準備をしているとし、インドはすでに原子力技術輸入の具体化に向けて動き始めていると語った。

その一方でジェイン社長は、日本で原子力の国際展開について語られるとき、ベトナム、フィリピン、インドネシアなどの名前は挙がるがインドについて言及されることはない、具体的な協力関係構築の話もない、と失望感を表明。インドは日本との原子力協力関係拡大を待望しており、エンジニアリングから原子炉機器供給、運転管理技術に至るまで幅広い分野で日本の原子力産業界の参画が求められている、と日本側の協力を訴えた。

インドは11億人と民主主義国最大の人口を抱えており、発電設備容量の増強が最大の関心事となっている。原子力に対する国民の反感もなく、エネルギーの安全保障を考慮すると原子力以外に選択肢はない状態だ。また日本とは違い若い人材も豊富で、毎年数万人規模の原子力エンジニアを輩出している。多くのエンジニアが欧米諸国へ流出しているが、多くの経験を積んで帰国する傾向も強い。

ジェイン社長は「インドは若い国だ」と強調し、日本の原子力産業界との間で人的交流を活発化させたいとの思いも語った。


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