[原子力産業新聞] 2006年5月25日 第2332号 <3面>

英首相、新設を示唆 エネ政策策定作業が大詰め

英国のブレア首相は16日、今夏に発表予定のエネルギー政策案について発言し、「原子力発電は英国のエネルギー保障に役立つ」と新規原子力発電所建設の可能性を示唆した。英国産業連盟(CBI)の晩餐会席上で明らかにした。

首相は「現行のエネルギー政策のままでは2025年までに、英国のCO2排出量は削減目標を大幅に上回り、現在はある程度自給している天然ガスも8〜9割を中東・アフリカ・ロシアからの輸入に依存することになる」とした上で、原子力発電所のリプレースや再生可能エネの導入などを最重要課題として取り上げる方針を示した。

CBIは、国内市場自由化で一時は大きく下がったエネルギー価格が、再び急激に上昇していることを懸念しており、昨年11月には政府に、原子力発電所の新設に関する判断を1年内に下すよう要望していた。

学界や専門家協会も原子力発電の新設を要望しており、地質学会、王立化学会、物理学会、電気技術者協会、土木技術者協会は昨年11月、合同会議を開き「英国として早急に原子力発電所の新設を検討すべきである」とする勧告をまとめた。勧告は、英国にはすでに原子力発電所の製造能力がないため、各種基準や設計の承認などに関連した問題については国際的な協調が重要であると指摘。また、国際的に見ても原子力発電所の供給能力は限られており、世界的な規模で同時に発注が行われるようなことがあれば、リードタイムがさらに長期化するおそれがあり、早めの政策決定が肝要と主張している。

エネルギー政策の策定作業は昨年11月にスタート、今年7月に発表される予定だ。


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