[原子力産業新聞] 2006年6月15日 第2335号 <2面>

FBR前倒し議論で近藤委員長 ”政策大綱の範囲内” 重要なのは開発課題への取組み

米国のGNEP構想やフランスの新エネルギー政策の発表を受けて、このところ我が国もFBRの開発や導入スケジュールを前倒しすべきとの機運が高まっている。原子力委員会の近藤駿介委員長は、こうした動きについて、「原子力政策大綱の内容を変更するようなものではないと思う。重要なのは様々な開発課題に、今日・明日、どのように重点的に取組むかだと思う」と強調する。

これは今月6日の同委員会定例会議後の報道機関との懇談会で語ったもの。原子力政策大綱はFBRについて、「50年頃から商業ベースでの導入を目指す」としているが、最近発表された自民党の総合エネルギー戦略の中間報告や総合資源エネルギー調査会の原子力部会の審議では、50年より前を目指すと提起する。米仏の発表などを受け、世界から遅れるのではとの危惧による。

近藤委員長は、こうした提起について、「原子力政策大綱に盛り込んだ政策が変化しているとは考えていない。関係者がFBR実現に向けて頑張ろうということで、気合いの問題。50年頃と45年に大きな差があるとは思えない」と指摘。「政策大綱を検討した際、50年頃という表現とともに21世紀中葉という表現が良いのではとの意見もあった」と述べるとともに、「(FBRを商業ベースで導入するためには)様々な開発課題に対し、今日・明日、何に重点的に取組むかを考え、それを達成できるかがポイント」とした。併せて、「ただし関係各機関で政策に齟齬がないよう調整している。また次の政策大綱まで現政策大綱をどうしても守るということでもない」とも述べた。

原子力委員会は、先月末、実用化戦略調査研究フェーズU最終報告書に関する同委員会としての意見を取りまとめ、現在、同報告書を検討している文部科学省の原子力分野の研究開発に関する委員会に提示した。同委員会でも前倒しシナリオについても検討しているが、一方で、「報告書には当面する様々な研究開発課題が示されており、10年頃までにこの課題にどの程度目途を付けられるかが重要。予算を含め、その開発環境をいかに整えるかが問われる」との意見も強い。


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