[原子力産業新聞] 2006年6月15日 第2335号 <4面>

手順書の改定、訓練強化へ 日本原燃 内部被ばくで対応

日本原燃は9日、再処理工場分析建屋で試料の分析作業を行っていた協力会社作業員が、微量の放射性物質を体内に取り込んだ件について、調査の結果を発表した。

それによると直接の原因は、フード(局所排気装置を有する箱型装置)内で放射性物質の分析試料の取り扱い作業を行う際に、二重に着用しているゴム手袋の外側の手袋を外したあとも内側の手袋にも放射性物質が付着、それに気づかず汚染防止のためのエプロンを取り外すときに、作業服の汚染を体内に取り込んだ可能性が高いと判断した。放射性物質による汚染は5月22日に管理区域用被服を洗濯する前に放射線測定を実施していたところ、1つの作業服の右胸部に汚染を確認して発見していたもの。

放射性物質は、グローブボックスからエアロック室(2つの扉を有し物を移動する際に両側の設備空間が直接つながらないように空気の流れを抑制する装置)を介してつながっているフードに、分析試料が入っている試料皿を移動させた際に、皿の裏面に付着していて、汚染された外側のゴム手袋を捨てる際に、廃棄物を捨てる袋から一重目のゴム手袋にも移行した可能性が高い。

作業員の内部被ばく量は尿などの検査から、預託実効線量として0.014ミリSvと確定。法令で定める年間線量限度(50ミリSv)より十分低く、胸部レントゲン撮影による被ばく線量(約0.05ミリSv)より低い値である。預託実効線量=体内に取り込んだ放射性物質から取り込み後50年間に被ばくする実効線量を、取り込み時点で被ばくしたものとして評価した実効線量。

今回の被ばく事例から、日本原燃では、@グローブボックス内に放射線検出器を設置し、試料皿の裏面を検査するA二重手袋のうち外側の手袋を廃棄するため、開口部の広い専用廃棄容器を新たに設置するB作業終了後に、補助作業者による被服汚染検査を徹底するC同種の作業を行う際に、上記対策が定着するまでの間、半面マスクを着用する――の対策を行うことを決めたほか、手順書の改定、分析員の教育・訓練を強化する。


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