[原子力産業新聞] 2006年6月22日 第2336号 <1面>

保全プログラムに停止間隔示す 検査の在り方の検討会 報告書案を審議

総合資源エネルギー調査会原子力安全・保安部会の「検査の在り方に関する検討会」は14日、第18回会合を開催、報告書案「原子力発電施設に対する検査制度の改善」を審議した。保安活動検査、保守管理検査の両WGにおける検討結果を踏まえ、今後の検査制度の改善の方向性として、@「保全プログラム」に基づく保全活動に対する検査制度の導入A安全確保上重要な行為に着目した検査制度の導入Bガイドラインの整備等――を掲げ、各事項について具体策を示した。原子炉停止間隔は、同プログラムにおいて個々に設定、国の妥当性評価を受けることになる。

報告書案は03年導入の現制度の課題として、高経年化対策も考慮した上で、@プラント毎の保全活動の充実A保安活動における安全確保の徹底B事業者による不適合是正の徹底――等を指摘。

改善の方向性として、まず事業者が策定する「保全プログラム」の充実を掲げ、国の検査は同プログラムに基づく保全活動に対して実施することを示した。同プログラムには時間計画保全の考え方に基づく定期的な検査に加え、状態監視保全や定例検査など運転中に行う保全活動も併せて記載することを求め、国がはあらかじめその妥当性を確認する。

原子炉停止間隔も同プログラムの基本的事項の中で定めることが適当と提起。プラント停止時毎に点検を行う必要がある機器・系統の最短点検間隔により、プラント毎に停止間隔を定めることを打ち出した。事業者が停止間隔を変更する場合には、段階的に行うなど慎重な取組みを求めるとしており、この変更の妥当性を評価する基準の策定もデータの取得・評価方法などを含めて厳格なものを求める方針。現行の画一的な定期検査から、プラント毎の運転実績やデータなどに応じ、柔軟性を高めた検査制度に移行することになる。

安全確保上重要な行為の特定にはリスク情報を活用する方針で、検査は原子炉の停止や起動などの重要な行為を実施する際に行う。またガイドラインの整備では、人的過誤等の直接要因に対する事業者の評価・改善状況を評価する指針、根本原因分析や安全文化・組織風土の劣化防止のためのガイドラインなどを挙げている。

新制度の実施は、準備期間を要するため、「例えば、08年度が目途」という。


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