[原子力産業新聞] 2006年6月22日 第2336号 <2面>

社会生産性本部がアンケート調査 “基本計画の認知度低い”
「エネ政策と地方自治体」で

(財)社会経済生産性本部のエネルギー環境特別委員会(委員長・茅陽一東大名誉教授)は、「エネルギー政策と地方自治体――自治体のエネルギー政策推進にむけての提言」を取りまとめた。

国が行う公聴・広報の活性化、地域の実情に応じた省エネ・新エネの取組みの促進、地方分権改革、電源開発促進対策特別会計の見直しなどで、地方自治体の役割は一層重要になってきているとの認識から、エネルギー政策における地方自治体の役割を明らかにしようとするもの。自治体の意見・ニーズの把握などの必要性から、平成17年8月にはアンケート調査も実施した。

提言は、@画一的な補助制度から脱却し、地域特性にあった新エネルギーと省エネルギー施策の立案と実施A学校・家庭・地域社会の相互連携で、充実したエネルギー・環境教育の実施B地域経営のデザインにむけた電源三法交付金の柔軟な運用C立地地域における原子力を含む科学技術リテラシーを向上していく仕組みづくり――など5つ。

アンケート調査は、全国47都道府県、2,360市区町村。有効回収数は1,034で、都道府県は100%、市区町村は約42%。

政府が策定するエネルギー基本計画の認知度については、「内容を理解して実践している」「内容を理解している」と答えた自治体は、都道府県で66%、市町村では17%。同計画にある「自治体の役割」については「抽象的である」と都道府県が87%、市町村が77%、評価している。また市町村では49%が同計画の「自治体の役割」は「実現困難」と判断している。

エネルギー政策を推進する上での特に重要な問題および制約は、主に「十分な予算・財源の確保が困難」と回答したのが70%前後、「担当部局の専門能力の欠如」が30%前後となっている。

電源三法交付金の必要性については、過去に交付金を受けたことのある自治体では「必要性は高まる」という判断が、都道府県で45%、市区町村で54%であるのに対して、交付金を受けたことがない市区町村では12%であり、「分からない」が62%を占める。

電源三法交付金の地域振興への活用では、主に「道路建設」「教育文化施設建設」「社会福祉施設建設」に利用していると回答。運用面では52%が「地場産業振興や観光資源開発等のソフト面に活用されるようになった」と評価している。

電源立地市区町村が電気事業者等に期待しているのは、上から順に「地元住民の雇用拡大」「自然環境の保護」「職員の地元定住、地元での消費・購買」「公共施設等建設への援助」などとなっている。

電源立地地域と電力消費地の交流活動については、立地地域の6割以上で、今後の必要性を評価しているが、これに対して大都市地域では、今後の必要性を認めているのは3割程度にとどまっているだけでなく、「分からない」「無回答」を逢わせると5割を超え、立地地域との意識のギャップが浮き彫りになった。

国や電気事業者による防災対策については、立地地域では「十分している」「ある程度している」という評価を合わせて67%、大都市地域では11%と、評価の傾向に大きな違いが見られるとしている。


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