[原子力産業新聞] 2006年6月29日 第2337号 <1面>

原産協会会長に今井氏 通常総会 新体制整い本格始動へ 副会長には秋元氏、服部氏

日本原子力産業協会は26日、4月から新協会となって初めての第56回通常総会を東京・千代田区の日本工業倶楽部で開き、平成17年度の事業報告・決算、18年度事業計画・予算を原案通り承認したほか、役員任期満了に伴い新たに理事・監事を選任した。会長には今井敬・経団連名誉会長、副会長には秋元勇巳・日本原子力文化振興財団理事長、服部拓也・東京電力副社長の2名を選出、西澤会長、金井、宅間両副会長は退任した。

同協会は4月からの新定款適用により、「自ら戦略的に行動する団体」として大幅な組織変更し、理事数を20名にしぼって暫定的に運営してきたが、通常総会以降の本格的な活動開始のため、理事陣容を大幅に変更した。

再任理事は、石塚昶雄氏、岡ア俊雄氏、河瀬一治氏、兒島伊佐美氏、鳥井弘之氏、並木徹氏、桝本晃章氏の7名。

総会ではまず西澤会長が挨拶し、地球温暖化や石油資源問題について言及した後、エネルギー産業界がこれらの問題の解決に積極的に対応していくことの重要性を指摘した。

次いで、来賓として松田岩夫科学技術政策担当大臣、吉野正芳文部科学大臣政務官、小林温経済産業大臣政務官が挨拶。 松田大臣は、原子力の積極的な再評価は海外の方が国内よりかなり強いと実感していると指摘した上で、米国も核不拡散上の配慮から新たな提案を行っており、「日本の国益もあるが、大きな方向としてはまったく一致できる考えだ。最先端技術と平和利用推進に強い意志を持つ日本が、世界の枠組みづくりに協力することは重要なことだ」と述べた。

吉野政務官は選挙区が福島県であること、小林政務官は出身地が福島県であることから原子力発電の重要性を訴えた。

役員選任の後、新会長として挨拶した今井会長は、西澤会長の後任を引き受けることは「たいへん光栄であると同時にたいへんな重責」と述べたあと、新会長としては「原子力平和利用を通じて、世界の平和の構築と持続的な発展に貢献できるように、その役割、使命を果していきたい」と抱負を語った。

秋元副会長は、「原子力なしに21世紀を乗り切ることは、環境、資源などの面から見ても不可能であることは世界的に共通認識となってきている。ただ受け入れの社会的条件はまだまだ整っていない。ニーズと実態との落差は他分野と比べても大きい」と指摘し、「ここ1、2年が正念場だ」と強調した。

服部副会長は、「原産協会のミッションをしっかりと着実に進めて行きたい」と語った。


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