[原子力産業新聞] 2006年6月29日 第2337号 <3面>

ABWR新設計画を発表 米サウステキサス・プロジェクト原子力発電所 NRGエナジー

米国のNRGエナジー社は21日、サウステキサス・プロジェクト(STP)原子力発電所(=写真)への増設計画を盛り込んだ電源開発計画を発表した。2014年の運開を目指し、建設・運転一体認可(COL)の申請に向けた準備作業を進める。同社はプラント供給者として、ゼネラル・エレクトリック社(GE)、日立製作所などの名前を挙げている。

増設されるのはSTP3、4号機で、52億ドルを投じ、出力135万8,000kWの改良型沸騰水型炉(ABWR)を2基建設する。運転開始はそれぞれ2014年、2015年を予定している。NRGエナジー社は19日、米原子力規制委員会(NRC)に、COLを申請する方針を正式に通告した。

STP発電所は、出力135万4,000kWのウェスチングハウス社(WH)製PWR×2基で構成されている。NRGエナジー社は、今年2月に部分所有者のテキサス・ジェンコ社を買収したばかり。ほかにCPSエナジー社とオースティン・エナジー社が共同所有者だ。運転はSTPニュークリア・オペレーティング社が代行している。

テキサス州の電力市場で扱われる電力の7割以上は高コストの天然ガス火力で発電されており、低コストのSTP発電所はフル稼働状態である。そのため同発電所の発電コストは0.376セント/kWhで、米国内他電源はもちろん、米国原子力発電所の中でも最安値を誇っている。

ABWRはGE、日立、東芝などが供給者となり、日本で4基が運転中、1基が建設中だ。GE製のABWRは1997年にNRCの最終設計認証を取得した。NRGエナジー社はABWRを採用した理由として「スケジュール通りに予算内で建設され、安全に稼動している」点を強調した。ABWR以外にもWH製のAP600、システム80+、AP1000が最終設計認証を取得しているが、実際にプラントが存在するのはABWRだけだ。

NRGエナジー社はCOLの具体的な申請時期を明言していない。これまでのABWRの建設実績から考えると着工から運開まで5〜6年はかかっており、NRCによるCOL審査期間は約2年と考えられていることから、STP3号機を2014年に運開するためには遅くとも2007年にはCOLを申請する必要がある。

米国ではこれまで、11件のCOL申請方針が発表されており、いずれも2007〜2009年の申請を予定している。


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