[原子力産業新聞] 2006年6月29日 第2337号 <3面>

ロシア 海上浮遊型原子力発電所着工へ 2010年秋に運開

ロスエネルゴアトム社は14日、世界初となる海上浮遊型原子力発電所(FNPP)の建設契約を、主契約者であるセブマッシュ・プリドプリヤチェ造船所と締結した。FNPPは同造船所があるフィンランド近くの白海沿岸のセベロドビンスク市(アルハンゲリスク州)で着工し、2010年秋の運開を予定している。

FNPPは、原子力砕氷船用の舶用炉KLT40Sを2基搭載したバージ型(タグボートで曳航・繋留)で、電気出力が7万kW。設計寿命は36〜40年間、運転サイクルが36か月で、4運転サイクル(12年)ごとにドック入りして大規模改修が行われる。排水量は2万1,500トンで定員69名。

FNPP建設プロジェクトの総費用は約91億ルーブル(約3億4,000万ドル)と見積もられており、ロスエネルゴアトム社の開発予算から拠出される。またセブマッシュ造船所もプロジェクトの20%を出資する。ロスエネルゴアトム社は、8年以内に投資した資金が回収出来ると試算している。

ロスエネルゴアトム社によると、FNPP初号機(プロトタイプ)はセベロドビンスク市に繋留される予定だが、将来的には、燃料不足に苦しむロシア北部などにも、電熱供給源としてFNPPが導入される可能性もある。また遠隔地電源や、海水脱塩用(日量24万立方mの淡水製造も可能)として、海外輸出(リース方式)も期待されている。

ロシア連邦原子力庁は昨年9月、FNPPの建設を決定。ロスエネルゴアトム社が今年5月、セブマッシュ・プリドプリヤチェ造船所を主契約者として選定していた。


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