[原子力産業新聞] 2006年7月13日 第2339号 <1面> |
「FBR開発のあり方」提示 原子力委が調査研究評価踏まえ原子力委員会は、11日開催の定例会議で「国家基幹技術としてのFBRサイクル技術の研究開発のあり方」を取りまとめた。原子力政策大綱を踏襲しながら、燃料サイクル技術は2015年までに概念設計の確定は容易でない、と指摘するなど一歩踏み込んだ内容。開発戦略や資源配分などについては、多方面からの意見聴取を求めるとともに、改めて安全確保の担保を強く求めた。 実用化戦略調査研究フェーズU最終報告書に対する評価は、現在、文部科学省の委員会が検討しており、今月中には中間報告を取りまとめる予定。主概念はナトリウム冷却炉、先進湿式法再処理+簡素化ペレット法(酸化物燃料)とするなど報告書の主要な部分は妥当と評価される見通しで、補完概念への取組みなどに関する詰めの議論が行われている。文科省は先月、原子力委員会にこうした検討状況を報告。今回のあり方は、この報告を踏まえた上で、同委員会としての認識を示した。 今後の研究開発の進め方として、15年には性能目標を満たす実用化像とそれに基づく実証炉の概念設計が提出されることが必要と、政策大綱を踏襲。その上で、原子炉はこの達成が可能と考えられるが、燃料サイクル技術は必要なマイナーアクチニド添加使用済燃料により再処理技術候補の実証的比較検討を行うことが望ましいと指摘。こうした手順を踏むには時間が必要で、15年までの概念設計確定は容易でないとし、同技術の実用化像は実証炉建設開始までに確定する、という選択肢もあるとの考え方を示した。 国際的な共同開発の重要性も指摘し、共同開発により炉型や燃料の異なる技術開発を並行して実施でき、開発リスクや資源負担の低減が可能であり、競争と協調を峻別し、推進すべきとした。 一方、研究開発の評価体制の充実も求めており開発戦略の策定、資源配分、次の取組みなどの決定の際には多方面にわたる学識経験者や専門家の助言チームからデータ、知見、判断・選択などの妥当性について意見を求めるべきとした。 原子力委員会はこれまで2回、フェーズU最終報告書の評価について留意すべき点を提示してきたが、あり方を示したのは初めて。 |