[原子力産業新聞] 2006年7月20日 第2340号 <4面>

松原元安全委員が講演 瑞宝章記念し放射線科学に関わった経緯を語る

元原子力安全委員長代理・松原純子氏(=写真)の瑞宝章受章記念講演会が7日、学士会館(東京・千代田区)で開かれた。

松原氏は、東京大学助教授、横浜市立大学教授を歴任後、96年に安全委員、01年には同委員長代理に就任し、04年に退任した。現在は、中央環境審議会臨時委員、放射線影響協会研究参与などを務める。今春原子力安全功労の功績で瑞宝中綬章を受章した。

同氏は記念講演で、水俣病、イタイイタイ病といった公害問題から、環境有害物質に関心を持ち、科学者の道を歩み始めたことを述べ、以後、多重リスクを専門分野とし、動物への放射性物質投与実験など、多忙な研究生活を送ってきたことを振り返った。その中で、カドミウムに誘導されるタンパク質の一種メタロチオネインが、ラジカル分子を消滅させ生体防御効果を持つことを発見した経緯を紹介した。研究者としての経験から、「科学する作業」では、現実を明快にとらえ、それら事実の発現する理由を量的に解明していくことが重要と指摘した上で、放射線は少量でも危険という意識を持つことに対して、「人間と有害物質の絶えざる相互作用」のバランスにおいて、有害要因を量的に、時間経過で明らかにし、正しい認識を持つ必要を述べた。


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