[原子力産業新聞] 2006年7月27日 第2341号 <1面>

エネ計画改定作業を開始 原子力施策強化を打出す

総合資源エネルギー調査会総合部会は26日、第6回会合を開催、エネルギー基本計画の改定作業を開始した。今会合で示された骨子案で原子力は、基幹電源としての位置付けや核燃料サイクル政策など現行基本計画の各種施策を強化する方針が打ち出された。9月まで同部会の下の基本計画小委員会で詳細内容を検討、12月上旬に閣議決定の予定。

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今後10年程度を見通した我が国エネルギー政策の方向性・考え方を示すエネルギー基本計画は、少なくとも3年毎に見直す。これに先立ち、エネ庁は重要施策に絞り、2030年という時間設定で数値目標も入れた新・国家エネルギー戦略を今年5月に策定。今回の基本計画は、同戦略や昨年4月に閣議決定した京都議定書目標達成計画を踏まえた見直しとなる。

骨子案によると、改定計画も基本方針、長期的施策、技術開発、必要事項という現行計画と同様の4章構成とする方針。原子力に関しては、長期的施策の中の「世界最先端のエネルギー需給構造の実現」において、電力自由化環境の下での新増設の実現、核燃料サイクルの着実な推進、FBRサイクルの早期実用化などを目指すとしており、現行計画の関係施策を強化する。その際、国民との相互理解や国と地方との信頼関係の強化を図るとともに、技術・人材の確保、原子力産業の国際展開支援、国際的枠組み作りへの協力、廃棄物最終処分場の確保、ウラン資源自主開発なども推進する。

また、技術開発の中で、原子力利用の推進とその大前提となる安全確保、ITER計画や幅広いアプローチをはじめとする核融合の推進などを取上げ上げた。

委員からは、「安全保障を第一とすることが現行計画との大きな違い、という点を明確にすべき」、「既設炉のリプレースを準備する時期になっていること、放射性廃棄物の最終処分場を決定することが重要であることを示すべき」、「海外と技術力のベンチマークを行い、予算配分や提携が必要」などの意見が出された。


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