[原子力産業新聞] 2006年7月27日 第2341号 <2面>

文科・経産など各省庁 来年度の経費見積方針を提示
FBR、廃棄物、人材などを重点に

文部科学省、経済産業省などの各省庁は、20日と25日の原子力委員会定例会議に来年度の原子力関係経費の見積り方針を示した。現在、各施策の具体的な見積額は調整中だが、FBR開発、放射性廃棄物処分、人材育成などを重点施策として打出している。

文科省は、原子力発電の戦略的推進、放射線利用推進、科学技術と人材の維持・発展、廃棄物対応などをテーマに要求の方針。戦略的推進では「もんじゅ」、FBRサイクル実用化に向けた研究開発、MOX燃料製造技術開発、公募制度の原子力システム研究開発委託費など。「もんじゅ」は対策工事やその後の追加試験を実施、FBRサイクル実用化ではフェーズUで示された革新技術課題の研究開発を推進する。

科学技術と人材育成ではITER計画、HTTRなどに取組むとともに、新規要求として原子力分野の人材育成を挙げた。ITER計画の今年度予算は約12億円だが、来年度は日本が分担する装置・機器の製作等を実施するとともに、幅広いアプローチも推進するため、大幅に増額する。また材料試験炉(JMTR)の改修費も要求する。人材育成では学生への奨学金、大学院の助成拡充などを行う方針。

廃棄物では地層処分技術の開発などとともに、新規としてRI・研究所等廃棄物処分費用の資金積立制度発足にともなう予算も要求する。

経産省は安全確保の充実、地域共生、廃棄物対応、原子力発電の戦略推進、国際社会対応、人材などをテーマに要求。安全確保ではプラント機器の健全性実証事業、緊急時対策技術などのほか、新規として原子力安全研究拠点の運営事業費を要求する。JNESが訓練施設に各種設備・装置を導入する。

廃棄物関係ではクリアランス確認技術高度化のための技術開発費を新規要求、戦略的推進では日本型次世代軽水炉のフィージビリティ・スタディが2年目に入るとともに、新規としてFBRサイクル実用化に向けた推進関係経費を要求する。また海外ウラン探鉱支援事業、回収ウラン転換前高除染プロセス開発も新規に挙げた。人材では文科省と連携し、「原子力人材プログラム(仮称)」を構築し、大学などの充実を図る。

外務省は具体的な要求額も示し今年度比8.3%増の95億2,000万円の予定。IAEA分担金は同8.5%増の74億6,900万円。

国土交通省、農林水産省、総務省消防庁、原子力安全委員会、内閣府原子力政策担当室なども要求額を提示。農水省は農業・食品産業技術総合研究機構食品総合研究所の改修、電子線照射装置の更新を要求する。


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