[原子力産業新聞] 2006年7月27日 第2341号 <3面>

次世代炉で国の役割強調 米産業界 官民分担で意見分かれる

米国の2005年エネルギー政策法は、2021年までに、アイダホ国立研究所で次世代原子力発電所(NGNP)原型炉の運転開始を求めている。しかしNGNPの研究開発スケジュールや費用分担をめぐり、意見は分かれている。

米エネルギー省(DOE)のD.スパージョン次官補によると、DOEは2011年までにNGNPの原子炉設計と水素製造技術を選定する方針だ。

一方、DOEの原子力研究諮問委員会の第4世代小委員会は、「計画を前倒しし、NGNPをすぐにでも建設し、その後の技術の進展にともなってアップグレードする」との同小委の勧告を発表した。アレバ社米国法人のT.クリストファーCEOも、この意見に賛同し「新しい原子炉技術を市場に持ち込むのに長期間かかることを考慮すると、今すぐNGNP建設に着手し、市場の信頼を得るために、確実な目に見える進歩を遂げる必要がある」と述べている。

また、ゼネラル・モーター社L.バーンズ副社長は、まもなく市場販売体制が整う燃料電池技術には、「安全で便利、低コスト」な水素製造が不可欠と主張している。一方、エンタジー社D.キューター副社長は、「米原子力産業界は、既存の原子力発電所の設計を改良した、低コストで安全運転が可能な新型軽水炉の設計・認証・建設で手一杯。NGNPは核燃料サイクルの完結に不可欠だが、これに長期投資を行えるのは政府だけだ」と述べた。

スパージョン次官補は、NGNP開発の早期実施要求に難色を示しながらも、官民協力の可能性を探っている。ウェスチングハウス社の上級副社長兼主席技術担当のR.メツィエ氏は、官民協力により、「NGNPは10年で実証できる」としながらも、「メーカーとしては、建設・運転一体認可(COL)など許認可申請がヤマ場を迎えており、現世代の新規原子力発電所に重点を置いている。DOEがリーダーシップを発揮すべきだ」と主張した。


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